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2021.01.22

「コロナ脳」からの脱却を目指して

 秋学期も無事、学年暦どおり学びを貫徹することができました。感謝いたします。
 しかしながら、大阪府にも再び緊急事態宣言が出され、落ち着かない日々が続いています。特に若者の行動に感染拡大の原因があるとして、その行動変容を求める言葉も聞かれます。確かに若者は行動範囲も広いので特段の留意が必要ですが、感染拡大の第一原因とするのも短絡的な議論です。学生の皆さん、ぜひ反駁できる姿を示してください。
 2020年は、失われた1年と呼ぶべき、新型コロナウイルスの話題に振り回された1年でした。しかし、昨年1月から今日までの間にも、世界は大きな出来事をいくつも経験しています。
 例えば世界の超大国であるアメリカ合衆国の大統領が代わりました。ヨーロッパでは、イギリスがEUから本格的に離脱しました。ごく最近では、核兵器禁止条約が発効しました。
 日本においても、長期在任の首相が交代しました。また、大学入試センター試験が大学入学共通テストという新しい制度に変更されました。
 これらはいずれも、新型コロナウイルスの感染とは直接は関係のない、歴史的な大変化です。
 それにも関わらず、報道も少なく、本来の話題性の大きさから見て、良くも悪くも、あまりにも過少な扱いを受けています。
 我々は今、新型コロナウイルスのせいにして、他のことについては容易に思考停止してしまう、いわば「コロナ脳」とでも呼ぶべき状態に陥っているのではないでしょうか。もしそうならば、我々は急いでその状態から脱却しなければなりません。なぜなら、思考停止ほど人間を退化させるものはないからです。
 2022年4月より、現在の国際教養学部を、国際学部と文学部に改組することを計画しています。特に文学部は、かつて本学にも存在した学部の復活です。文学部とは、文学を学ぶ学部ではなく、Humanitiesの翻訳とされる人文学全般、すなわち、人間が為す営為全般について、その歴史や仕組みを学び、人間そのものについて深く探究する多様な学問分野から成る学部です。この学部においても、思考することは最重要の話題です。
 今もし我々に行動変容が必要であるのならば、この「コロナ脳」に関してではないでしょうか。
 皆さん、考え続けてください。

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