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2005(平成17)年度事業計画

はじめに

21世紀初頭の社会状況と追手門学院建学の精神

21世紀初頭の社会状況は、知識主導社会、人口減少社会、循環型社会、多元文化社会等、どれ一つをとっても計り知れないインパクトをもつ社会変容要因が同時並行的に生起、進行しており、社会は流動的で複雑化した不透明な時代に入っている。とくに世界史に例を見ないスピードで進行している少子高齢化社会の脅威と膨大な公的債務負担にさらされている日本社会の展望は、不透明さを増している。

このような社会状況においては、「社会進歩の総合的評価」の指標として「持続可能性」が求められるであろう。物質的経済的価値と精神的文化的価値のバランスのとれた社会形成と生活文化、国際協調と国際競争、異文化理解、自然環境との共生、子育て支援など、「持続可能な社会の条件づくり」が欠かせない。その社会形成の担い手としての人材育成が教育機関に強く求められている。かかる社会状況の中では、一人一人の深く考え抜く力、「個の確立」が重要性を帯びてくる。追手門学院建学の精神である「独立自彊」、現代流に言えば「自主・自由・自立」の精神の重要性が再認識され、現代にあって一層の輝きを増していると言えよう。

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教育改革と経営改革

しかし、私学の存続をかけた競争の熾烈化は加速度を増し、学校の淘汰が進行している。進学適齢人口のさらなる減少、大手学校の総合学園化、教育の自由化による海外学校の参入と生徒・学生の海外流出、株式会社による学校設立など多様な学校制度の導入、第三者評価の施行、経常費補助金の削減、低成長経済の恒常化等、私学を取り巻く社会経済環境は厳しさを増す一方である。かかる状況の中で、追手門学院は教育改革、業務改革、財政改革、人事給与改革、経営システム改革を推進し、信頼される学校づくり、学院づくりを目指してきた。本学院では時代の要請に応えて、高い学力を育て、豊かな個性を磨き、社会力・行動力を鍛え、「進取の気概に溢れた」たくましい若者を世に送り出すとともに、「120年の伝統と文化に根ざした高い品格を保つ」追手門学院の学風の確立に勉めている。その具体的展開の内容については、各校の事業計画の概要に示した。追手門学院は今後も、建学の精神にのっとった運営を確保し個性輝く学院づくりに取り組んで参りたい。

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教育機関における経営思考の制度化

なお、国立大学独立法人化、第三者評価義務化など教育機関の管理運営上の改革が進行している。その根本理念は、教育機関における自助努力、自己責任の担保・推進であり、教育事業体としての経営思考の制度化である。教育機関の管理運営上の改革要請は、私立学校にも波及し、2005(平成17)年4月1日から施行される改正私立学校法では、理事制度の改善、監事制度の改善、評議員会制度の改善、財務情報等の公開などが盛り込まれている。学院各校の自立的ガバナンスと理事会・学院執行部による監視的ガバナンスの調和に配慮を加えながら教育改革・経営改革を推進してきた追手門学院ではこれらの改正の基本線はすでに敷設済みであるが、常任理事会では改正私立学校法への適合性をより一層高めるために、(1)寄附行為の一部改正(2)監事監査規程の制定(3)事業計画の作成に取組み、このたび成案を得て理事会、評議員会へ提案の運びとなった。

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事業計画の策定に当たって

予算会議

2005(平成17)年度事業計画の策定にあたっては常任理事会の統轄のもとで予算会議(学院長、常務理事、事務局長、財務課長)を編成し、各学校・部門から提出された事業計画・予算案を、事業の優先度・必要性と消費収支状況等を見据え、全体的に抑制的ではあるが、費用対効果を慎重に審査し、重点的予算編成に努めた。各学校長・園長との調整会議を経て、校長会、全学院部局長会、大学部局長会、大学評議会での了承を得て、事業計画・予算案の策定作業を終えた。

本学院の収入は、学生・生徒納付金への依存率が高い(2005(平成17)年度予算案では対帰属収入比78.5%)。学費以外の収入確保の努力を続けているが、経常費補助金の抑制傾向、進学適齢人口の減少と私立学校の置かれた状況は非常に厳しい。さらに、ゼロ成長あるいは低経済成長の長引く状況下では学費改訂は難しい状況にある。学院全体として、2005(平成17)年度の帰属収入減は避けがたい見通しではあるが、とくに臨時定員の終了とともに収容定員が大幅に減少している大学の収入減の影響が大きい。予算会議では「募集力の強化、教育力の強化が最大の財政政策」であることを認識し、教育指導体制の強化策・改善策については予算措置の優先度を高めた。

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ゼロベース予算

このような厳しい収入状況の下で、学校経営を維持していくためには、収入の減少に見合った支出の抑制を計っていかねばならない。厳しいコスト意識をもって支出抑制に取組む必要がある。小学校、中・高、大手前中・高にあっては、校舎建替えの事業計画を推進する上で、財源捻出のため経常経費の削減努力が欠かせない。いずれも教育研究水準や学生・生徒・児童サービスの低下を招かないことが前提であるが、限られた財源の有効配分の努力を徹底させる必要があり、ゼロベース予算方式による厳しい審査を実施した。

各校・各部門から多くの事業計画が提出されたが、財政的制約の中で収支のバランスを考え、あわせて進行中の創立120周年記念事業を見据え、以下のように2005(平成17)年度事業計画をまとめた。各校の事業計画については、・.事業計画の概要に、予算編成については、別紙予算(案)に提示した。

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三原則

常任理事会は、事業計画・予算編成審査にあたっての基本原則として、三本の柱、(1)募集力の強化(キーワード:教育力)(2)財政基盤の確立(キーワード:未来費用)(3)開かれた学院(キーワード:社会的通用性)を建て、総合的判断により事業計画の策定に当たった。なお、この三原則は、常任理事会において学院運営の基本方針としても機能させていることを付言しておきたい。

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事業計画の概要

1.大学・大学院

(1)教育

  • 本園教育方針の深化を図る。今年度は人間の基礎・基本における『変わらざるもの』と『変えるべきもの』の見極めに重点をおく。
●新規 ・・・

(1)体操・音楽リズムの専門指導者を置き、教育の充実を図る。
(2)年中・年長組にパソコン教育を採り入れる。(追大との連携)

  • カリキュラムの見直しと再構築

(2) 生活指導

●基本理念 ・・・・・・ 幼児にとっての『学力』とは『自らの生活力』を指す
●重点目標 ・・・・・・ 『朝の挨拶(前向き)』『ハイと返事(呼応)』
『靴を揃える・立つとき、椅子を入れる(自律)』
●就学前教育 ・・・・・・

どの小学校に進学しても適応できるように指導する。
(小1プロブレムに対応)

(3) 園児募集(含広報)

  • 多様化する保護者のニーズヘの対応 ・・・ 預かり保育時間延長・長期休暇中の実施
  • PTA運営の改革 ・・・ 保護者の物心両面の大きな負担を大幅に軽減させる
  • 園の意思・教育的意図などの情報発信に力を入れる。
  • 施設貸しとして、未就園児の受け入れを積極的に検討する。

(4) 教職員人事

  • 専任教諭1名欠員・2名退職、1クラス増により、専任教諭4名・臨時教員2名を採用する。

(5) キャンパス整備

  • 園庭の整備
    • (1)遊具の整備 ・・・ 特に年長児用の鉄棒など、体育系遊具を設置する。
    • (2)砂場の整備 ・・・ 夜間犬猫進入防止(糞尿対策)・日よけを設置する。

(6) その他

  • 園児健康調査器具の充実 ・・・ 聴力検査機器の購入

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2.小学校

(1)教育

  • 「教育の質の向上」を主眼に置き、よりキメの細かい教育の実践を目標とする。
  • * T・A(Teaching Assistant)制度を新設し、担当教員の目に加えて複数の目でカバーして、児童の個々に応じた教育をめざす。

(2) 生活指導

  • 「児童の安全確保」を第一にこれからも児童・保護者が安心できる教育環境を構築する。
  • ※T・A(Teaching Assistant)制度を新設し、担当教員の目に加えて複数の目でカバーして、児童の安全確保に主眼を置くとともに、児童観察を通じてクラスを超えた友達同士の環境や個々の抱える悩みを早期に察知し、早期解決をめざす。

(3) 児童募集(含広報)

  • 入学者152名(1クラス38名・4クラス)
  • 幼稚園での授業取り組みを小学校授業で活かす為に幼稚園事業の見学を実施する。
  • 入学者の卒園した幼稚園の先生を対象に学校見学会を実施する。

(4) 教職員人事

  • 退職者の後任補充として、新規採用を実施する。
  • 中学教員による小学校授業の実施により、中・小の連携を図る。
  • T・A(Teaching Assistant)制度を新設し、担当教員の目に加えて複数の目でカバー して、児童の個々に応じた教育をめざす。

(5) キャンパス整備

  • 第4期工事 西館の建設を目指し、具体的内容の検討に入る。

(6) その他

  • 日本私立小学校の教員研修に積極的に参加し、運営に寄与する。

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3.大手前中・高等学校

(1)教育

  • 正規授業を最重要視―学力の礎は正規授業にありという大原則に基づいて、授業内容の質向上、生徒の授業態度および意識を高める。
  • 教育目標の設定―学年毎に目標を設定し、その目標を達成するための取り組みを発表し、 達成できたどうかの分析結果報告および今後への課題までをひとつの括りにします。さらに、この目標の積み重ねを大学合格実績の増大につなげていきたい。

(2) 生活指導

1服装指導、2遅刻指導、3マナーモラルの向上の3本柱にして指導する。教員全員が同じ視点、視野で協力しあい一枚岩となって取り組みたい。

(3) 生徒募集(含広報)

  • 中学入試
    40名4クラス―160名の確保、近畿統一入試への対応強化、塾・私立小学枚への広報力の強化、教育成果の提示
  • 広告入試
    専願のみならず併願入試も実施、塾・中学校への広報カの強化

(4) 教職員人事

専任教員は役職担当および特別教員(10名)以外はすべて担任(4名)を持つようにする。そのため、2009年度までには専任教員34名、常勤講師7名体制を作る。また、この体制が整うまでは、経費を考慮した上で非常勤講師を削減して良質な常勤講師を増やすことも検討していきたい。

(5) キャンパス整備

  • 学院120周年に向かって、現在の南館を残して、西館・北館・体育館棟の建替え・期工事の基本計画を進めています。
  • 西館と北館(一部)に体育館を含む中高5階の校舎建築、6階に学院のフロア。
    2007年7月末竣工(予定)

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4.中・高等学校

(1)教育

中学校

  • (1)教育理念・方針に照らして、両コースの特性をより明確にする
  • (2)アカデミックコース
    • ・学習実績を上げる
  • (3)ダイナミックコース
    • ・基礎学力の定着とその発展
    • ・生活全般に対する積極性の引き出し

高等学校

  • (1)府私学課から指摘されているカリキュラム上の問題解消
  • (2) 総合文理コース「特別講座の方向性について」
  • (3)進学実績を実質のあるものにする体制づくり
  • (4)教育の内容を量から質への転換

(2) 生活指導

中学校

  • (1)礼儀正しく、元気な生活姿勢の確立
    • ・指導の計画性と組織化
    • ・生徒との関わりを深める
    • ・問題生徒に対して、的確に対応できる体制づくり

高等学校

  • (1)生活規律の確立
    「生徒個々の夢を実現する為に、努力が報われ互いが誇れる生徒集団づくりを目指す」
    • ・登校指導を継続する
    • ・遅刻をしない生活を呼びかける
    • ・処分制度の下に校則違反は厳しく温かく指導する

(3) 生徒募集(含広報)

中学校

  • (1)塾対象説明会の充実
    • ・受験生の最大の送り手である塾ヘアビールができる教育実践や進学実続を上げる
    • ・追手門学院小学校・私立小学校(大阪・京都・兵庫)との連携強化
    • ・学校見学会の開催
  • (2)公立小学生への広報活動
    • ・オープンスクールや学校見学会の案内や参加呼びかけ
    • ・近隣小学校との交流(文化祭の開放など)
    • ・大手塾発行の雑誌への広告掲載
    • ・新聞広告(サンケイリビング等)など、新たな広報活動の検討

高等学校

  • (1)・大阪市内からの志願者を増やす
  •      ・夏のオープンスクールの印象が受験校決定の大きな要因であるので、リーフレットの 配布、地域の選定やイベント内容の吟味を進める。

(4) 教職員人事

  • (1)教育改革の前進のために、組織の一部改編
    • ・6年制委員会 → 「6年一貫プロジェクト」に改編
  • (2) 意欲的な教育活動への動機付け
    • ・冊子「教育活動への決意」を発行予定

(5) キャンパス整備

  • (1)校舎建設計画の早期策定
    • ・移転が可能かどうかの早期決定
    • ・建設計画のプランの作成
    • ・資金計画の目途

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5.大学

(1)教育

  • ・経済学部ヒューマンエコノミー学科開設
  • ・経営学部マーケティング学科開設(含む収容定員増)
  • ・心理学部・社会学部の設置申請準備(平成18年度開設予定)、文学部改組の検討
  • ・地域支援心理研究センター竣工、臨床心理士1種認定にともなう事業活動の展開
  • ・大学院経営学研究科設置申請準備(平成18年度開設予定)
  • ・FD(授業改善)活動の活性化
  • ・学部横断的カリキュラム・副専攻の検討
  • ・インターンシップの強化、キャリア形成科目の拡充

(2) 生活指導

  • ・課外活動の活性化、ボランティア活動の支援
  • ・学生ケアの拡充(心の健康づくり、キャリアカウンセリング)
  • ・給付奨学金制度の充実、食堂の活性化

(3) 学生募集(含広報)

  • ・AO入試に指定分野方式を追加
  • ・指定校の拡大(経済、経営、文学部)、指定校推薦入試の実施(心理・社会学科)
  • ・渉外活動の充実、渉外担当と各学部・各学科との連携の強化
  • ・広報の拡充((1)大学全体と各学部学科、(2)広報メディア、(3)広報タイミング)

(4) 教員人事

  • ・心理学部・社会学部の設置申請準備(収容定員増)に対応した教員の採用・補充計画
  • ・情報教育、キャリア教育担当教員の増員
  • ・教育職員人事委員会の発足

(5) キャンパス整備

  • ・中央棟および6号館の建設
  • ・図書館改修および宮本輝ミュージアム開設(5月竣工
  • ・バスターミナル、グランドおよび駐車場整備計画の策定

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