大学院案内

広い文化的視点からグローバル化した現代社会を捉える。

現代は、グローバル化が進み国際社会への関心が高まる一方、訪日外国人客の増加に象徴されるように、国内外からも日本へと目が向けられており、伝統文化の継承や、その基盤となる地域社会の創造へも関心が高まっています。こうした動きに対応するべく、教育課程を定めました。現代社会学専攻は、現代社会コースとスポーツ文化学コースと地域創造コースを設けました。また、国際教養学専攻では、国際コミュニケーションコースと国際日本学コースを設けました。そしてこれらのコースすべてにおいて、他コースの科目履修を認めることで、専門分野についての深い学びだけでなく、隣接する分野についても学際的に学べる構成になっており、このことが本研究科の特色だと考えています。

現代社会学専攻

特 色

色々な問題を、さまざまな角度から

社会学は人間社会に出現するあらゆる事象をその研究対象としています。そのため、社会学は間口が広く、扱うテーマはきわめて多岐にわたっています。ひとくちに「社会」といっても、家族や身近な仲間といった小さな社会から、地域や組織や世代、さらに民族や国家などの大きな社会まで、さまざまなものが考えられ、そのいずれもが社会学の研究対象となります。したがって、社会学においては「何でもありだ」という言い方もできます。その「何でもあり」といった幅の広さ、柔軟さを取り込んで、社会学は常に活気を持った学問として存在してきました。2019年度より本専攻は、これまでの社会学の専門性や多様性に加え、「地域づくり」「地域政策」にまで領域を広げ、さらに2024年度からはスポーツを広く社会文化として捉えた領域として拡大し、それらを専門的・体系的に学べるように整備しました。個々人が自らの知的関心に基づいて、その研究対象に自由にアプローチできるのが、本専攻の大きな特質です。

現代社会のダイナミズムに挑む

本専攻は、急激に変動する現代社会の構造を分析し、そこに現れる諸問題を解明することを、研究・教育の理念として1975年に開設されました。私たち現代人は、産業の多様化、テクノロジーの発達、都市化、情報化といった複雑で、変化の激しい世界に生きています。とくに現代の日本社会は、ポスト近代社会と言われ、豊かな社会に特有の格差や貧困、グローバル化、少子高齢化といった多くの現代的問題に直面し、常に新しい現象を経験しています。社会学やスポーツ文化学、地域創造学という学問は、優れて同時代的であり、それが果たす学問的役割は今日、ますます大きくなっているといえるでしょう。本専攻では、まず何よりも「現代」というものに焦点をあてて、理論と実証の両面からはもちろん実践面でも、現代社会における諸問題にアプローチすることを研究・教育の目標としています。 また、社会学的・スポーツ文化学的・地域創造学的研究のプロセスにおいては、当然専門的知識や方法を理解・修得することが求められますが、既存の知識と方法を学ぶだけでは、多様性に満ちた現代社会を深く分析することはできません。現代を主体的に生きる人間として、自己の実体験や人生のあり方と結びつけながら問題を考察し、個々人の独自の発想を理論構築や政策立案へと発展させていくことが、本専攻の教育指導の大きな目標です。

自由で活気のある学問環境

本専攻で指導にあたる教員は、さまざまな研究領域で優れた業績をあげています。また、これらの教員たちはそれぞれ個性的であり、教員同士が、学問やライフスタイルや具体的な問題現象に関して、活発に議論しあっており、本専攻は自由で活気のある学問環境を持っていると自負しています。本専攻の講義や演習はいずれも2 ~ 3名の少人数で、丁寧な教育指導が行われています。修士論文を指導する教員を選ぶ際にも、院生の関心や個性を充分に尊重して決定することにしています。指導の場においては、院生たちとのコミュニケーションを重視し、常に活発な議論を行っています。院生と教員が、自由に交流しあい、刺激しあって、みながともに成長していけることを常に考えています。このような学問環境は、日本の社会学において斬新かつユニークでありつづけた追大社会学の伝統とも言えるでしょう。

社会人および留学生のみなさんへ

本専攻では、社会人入学試験を導入しています。ともに、筆記試験(論文のみ)と面接によって選考します。社会の多様化にともなって、学びの形態もまた多様化しており、そのニーズに応えることが大学院にも要請されています。生涯学習についての関心が高まっている今日、職業生活や家事従事などの社会経験を経て、本格的に学問研究をしたい、という人々が増加しています。また、日本で学ぶことを希望する外国人も少なくありません。多様な社会経験や異なる文化的背景に基づく発想や感覚は、学問研究の場を活性化させます。生きた社会的現実の理解を必要とする現代社会学という学問においては、社会人・職業人としての経験や日本とは異なる文化のもとで育った経験そのものが、重要な学修資源となり得るのです。本専攻は、多様な経験や文化を持った、社会人や留学生のみなさんを大いに歓迎します。

カリキュラム

現代社会の特性をとらえるカリキュラム編成

本専攻の基礎となる専攻共通科目には、現代社会学の原理を学ぶ「現代社会学総論」と、実証性を重んじる専攻ならではの「社会調査法演習」があります。これらをベースに、個々の関心にしたがって、現代社会とスポーツ文化学、地域創造という3つのコースの専攻科目を受講していきます。現代社会コースは、人間と人間の関係を探究する社会学を軸に、社会的存在としての私たちが“今どうしてこのように生きなければならないのか”という現代性を究明します。この問いに導かれながら、標準的な社会学の理論―実証、基礎―応用の全領域を網羅しながらも、流動化する現代社会をとらえる挑戦的かつ説得力ある論理を紡ぎだせる人材を育成します。さらに、スポーツ文化学コースは、スポーツを社会・文化現象として捉え、人文・社会科学的に研究することで、スポーツに関する高度かつ広範な専門的知識を身につけた人材を育成します。また、地域創造コースは、人口減少・超高齢化、地域間格差が進展するなかで、いかに持続的な地域社会を創造するのかという現代社会の根源的課題に取り組みます。都市・地域計画学、住居学、観光学といった学際的な観点から、地域文化資源の理解、コミュニティ再生、観光まちづくりといった実践型の研究を通じて、魅力あるまちと公正な社会づくりに貢献する人材を育成します。

コース紹介

現代社会コース
「現代」を読み解く視点を養い、
社会に活かせる問題解決力を磨く

複雑で変化の激しい「現代」を見つめ、産業の多様化、テクノロジーの発達、情報化、国際化、高齢化といった現代社会の重要な諸問題に理論・実証の両面からアプローチします。本コースでの研究領域としては「現代社会問題領域」「社会学研究領域」「社会文化デザイン領域」があります。

スポーツ文化学コース
スポーツを社会文化と捉え、
研究と実践から価値想像力を磨く

現代社会においてスポーツは社会の文化形成に関わる体系的な領域と捉えることができます。本コースではスポーツに関する基礎的問題から、スポーツに関わる文化、産業、心理、医療、健康、メディアなど、日常の社会生活に現れる幅広い分野をカバーします。スポーツを社会・文化現象として捉え、人文・社会科学的に研究することで、スポーツに関する高度かつ広範な専門的知識を身につけた人材の育成をめざしています。

地域創造コース
地域の新しい価値を発見し、
社会の発展に貢献できる力を養う

地域が抱える課題を読み解き、そこに潜在する資源・価値を再発見し、持続的な地域社会を創造するための思想と技術、その基盤となる 「知」を探究します。本コースの研究領域である「計画・デザイン領域」「地域政策領域」「観光領域」を通じて、より多様かつ高度な専門性を身につけることができます。

取得できる資格

専門社会調査士の資格取得が可能

本研究科の現代社会学専攻では、一般社団法人社会調査協会から「専門社会調査士」科目設置大学院として認定を受けています。

専門社会調査士について

「専門社会調査士」とは、社会調査の知識や技術を用いて社会的現実をとらえ、世論や市場動向、社会問題など新たに生起するさまざまな社会事象をとらえることのできる能力を有する「調査の専門家」のことです。資格の認定は一般社団法人社会調査協会がおこなっています。
社会調査協会が認定する「専門社会調査士」の資格申請を希望する場合は,次の4要件を満たす必要があります。

  • 1.社会調査士資格を有すること
  • 2.標準カリキュラムH,I,Jに対応した科目の単位を修得すること
  • 3.社会調査結果を用いた研究論文(修士論文を含む)を執筆すること
  • 4.修士課程を修了すること

現代社会学専攻では、専門社会調査士の資格取得に対応した科目を設置(下表)しており、入学後に履修・修得することで上記2.の資格要件を満たすことができます。

(専門社会調査士関連科目)
本学の
開講科目名
社会調査協会で定める
カリキュラムとの対応
社会調査法
演習
【H】調査企画・設計に関する
演習(実習)科目
多変量解析
演習
【I】多変量解析に関する
演習(実習)科目
質的調査法
演習
【J】質的調査法に関する
演習(実習)科目

詳細については、一般社団法人 社会調査協会のウェブサイトを参照してください。

先輩の声

学びインタビュー

学びインタビュー

トレーナーとして感じた疑問と社会課題を解消すべく、
社会学の観点からスポーツを研究。

現代社会文化研究科 現代社会学専攻 修士課程 現代社会コース

宮﨑 要輔さん

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少人数制の講義はすべてがゼミレベルの密度で
価値観の揺らぎを大切にする姿勢が磨かれる。

私は競技力アップを目指す「一本歯下駄GETTA®」を開発し、その販売やトレーニングサービスを行う株式会社GETTAの経営者として活動しています。そしてフィジカルトレーナーとしてこれまで、サッカーや野球、陸上、格闘技などのトッププロおよびオリンピック選手を指導してきました。
その経験から実感するのは「世界レベルの選手のトレーニングや感性・感覚はスポーツ科学やバイオメカニクスでは説明できない」ということです。選手を世界のトップへ導くトレーニングには、数値化にこだわらない領域からのアプローチが必要なのです。そこで、大学院で社会学の観点からスポーツを学ぶことを決意しました。
数ある大学院の中で追大を選んだのは、スポーツの豊富な知識と大局的な視点、教育面における哲学をお持ちの上田滋夢先生がいらっしゃったからです。上田先生のもとでなら、自分の望む学びと研究が必ずできると確信しました。

加えて、スポーツによる地域づくりに力を注がれている点も魅力でした。私自身、トップ選手の経験や感性が社会の知になっていないことに問題意識を抱いており、社会への還元手法にも触れたいと考えていたからです。
院生として感じる追大大学院の魅力は、各分野の一流の先生方による、双方向授業です。しかも少人数制のため、院生にあわせて講義がカスタマイズされるので、すべてがゼミレベルで高密度の学修となります。時事問題も交えたさまざまなテーマで先生と1対1のディスカッションを行い、社会学や心理学の知識や理論が身につくのはもちろん、「価値観の揺らぎ」を大切にして多角的な視点で物事を考える姿勢が磨かれました。日常生活においても他者の良い部分をどんどん吸収できるようになり、自身の成長につながっています。
オリンピック代表選手をはじめ、多彩な経歴の方が院生として在籍し、大きな刺激を受けられるのも追大大学院の魅力です。

日本人に適したトレーニング手法や
体の使い方について文化資本を軸に研究。

修士論文では、欧米化による日本人の身体の変化やトレーニングへの影響について、文化人類学者の論文や歴史書など100冊以上の文献を用いて調査しました。その調査から、500年以上の歳月をかけて培ってきた固有の動作を日本人は捨てている状態だと判明しました。例えば、かかと着地の歩き方や背筋を伸ばす姿勢は、靴や洋服にあわせた価値観で、明治以前の日本にはなかった文化です。下駄ではつま先着地になり、和服では胸を張らないことが美しいとされていたからです。また、現在のトレーニングはほとんどが西洋式です。つまり、日本人選手は、西洋の文化資本の中で勝負しているのです。

言い換えれば、500年以上の歴史を有する日本の文化資本を活かすトレーニングや動きを取り入れることで、日本人選手は飛躍的に強くなる可能性を秘めています。「一本歯下駄GETTA®」のトレーニングを通して、そのことは感覚的に分かっていましたが、大学院での研究により理論的な裏付けと言語化ができたのです。
トレーナーとして指導する際も、日本の文化資本を活用する意義を体系的に説明でき、選手にも理解してもらえるようになりました。

論文を執筆したことで生まれたトレーニングも数多くあります。現在、欧州で活躍するサッカー選手たちやプロサッカーチームのトレーニングにも関わっていますが、追大の大学院での学びがバックボーンになっています。
また、授業や研究、上田先生との日々の議論によって分析力が磨かれました。それを実感したのは、在学中にボクシングの世界戦のトレーナーを務めた際です。従来は動画だけで相手選手の研究をしていましたが、追大での経験を経て、雑誌のインタビューやコラムといった文字情報からも多彩なデータを獲得して対策や戦略を立てられるようになっていたのです。

今後も大学院で培った経験や学びを軸に、多彩な視点でアスリートのトレーニングを行い、同時に、選手のキャリアについても社会学の視点を交えてサポートしていきます。それらを続けることで、自ずとスポーツによる社会への還元も叶うと考えています。

取材内容は2022年3月時点のものです

学びインタビュー

オリンピック出場を経て指導者として働きながら、
より良い指導で社会貢献につなげる。

現代社会文化研究科 現代社会学専攻 修士課程 現代社会コース

中村 友梨香さん

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現代社会学を深く探求して、学ぶ楽しさを知ると同時に
修士論文の研究に必要な「多彩な視点で考える力」を磨く。

中学から陸上を始め、⾼校卒業後は天満屋陸上部に⼊部し、2008年の北京オリンピックには⼥⼦マラソン⽇本代表として出場しました。現在は、NOBY T&F CLUBのコーチとして活動しながら、関西・名古屋を中心に市民ランナーのランニング指導も行っています。

そんな私が大学院を志したのは、多くの方と関わるうちに「社会人として学ぶ」ことへの意欲が高まったからです。進学に向けていろいろな方に相談し、その中で出会ったのが上田滋夢先生でした。先生から、私が昔から抱いていた「なぜ高校の頃トップクラスだった選手は卒業後に伸び悩みやすいのか」という疑問は、突き詰めれば社会学の研究テーマになると教えていただいたのです。上田先生の元で学びたいと考え追大の大学院を志望しました。追大は学生のライフスタイルを尊重してくださり、現在の仕事を継続しながら通える点も決め手でした。

追大の大学院の魅力は、少人数で密度の濃い授業を受けられるところです。「文献を読み、自分の考えを文章にまとめ、ディスカッションを行う」というサイクルを中心に現代社会学を学んでいきます。最初は難しさを少し感じましたが、先生方が熱心に指導してくださり、学ぶことがこれほど楽しいものなのだと初めて知りました。何より、個々の授業や高校までの学び、社会人として経験してきた事象が、どんどんと結びついていくのが本当に面白かったです。
印象深い授業は「犯罪社会学研究」です。「逸脱」をテーマに、遅刻や人間関係の摩擦なども社会学的観点から考え、先生とディスカッションしました。この授業を通じて「事象の原因を個人にのみ求めない」など、物事を広い視点で観察できるようになり、日常生活での物の見方が大きく変わりました。仕事でも、多彩な視点で考えながら子どもたちにコーチングできるようになっているように感じます。

大学院での学びや経験を活かし
陸上指導者として社会に貢献する。

「なぜ高校の頃トップクラスだった選手は卒業後に伸び悩みやすいのか」を研究するにあたり、私は「公立高校と私立高校の違い」に着目し、競技を女子3000メートルに絞りました。そして、2通りの手法で調査を実施。1つ目は、自分と同学年を中心として年代を絞り、高校時代にトップクラスだった選手の追跡調査、2つ目は、日本代表に選ばれた選手の過去の成績と出身校を辿る調査です。2つの調査から「私立高校の生徒は公立高校の生徒に比べ、高校時代の成績は高いが卒業後オリンピック代表になる傾向は低い」と判明しました。

さらに、日本代表経験のある選手や元選手と日本代表選手を複数輩出している指導者へのインタビュー調査を敢行したり、部活動の歴史や時代ごとの社会背景なども文献で調べていったりしたのです。そこから、教育視点の消失による部活動の過熱化が一因であるとの結論に達しました。

このように修士論文の調査および執筆は慣れないことも多く大変でしたが、上田滋夢先生や仲間に指導・アドバイスをいただき完成までたどり着けました。学術集会で発表もさせていただき、本当に貴重な経験を数多くできた2年間でした。
今後は、追大の大学院で得た知識と経験を武器に、多くのランナーに「走ることの楽しさ」を純粋に感じていただき、探究心を持って走り続けられるように指導・サポートしたいです。それが、結果的にはタイムの向上にもつながっていくと信じています。また、実際に、教え子から進路相談を受けた際には、公立校・私立校の特性を踏まえたうえで将来まで見据えた視点でお話させていただいています。

また、文部科学省の方針では、2023年度以降、休日の部活動が段階的に地域に移行されていく予定です。そこでも、部活動の競争が従来より過熱化する恐れがあるのではないかと思っています。それにより選手が犠牲にならないように、大学院での学びを活かして貢献したいとも考えています。

取材内容は2022年3月時点のものです

国際教養学専攻

特 色

教育・研究の目的

国際コミュニケーションコースでは、国際社会において求められる教養を備え、その確かな教養力に裏打ちされた、英語学、英米文学、英語教育学のいずれかの分野における高度かつ専門的な知識を有する人材の育成を目的とします。英語と日本語の双方の言語で英語学、英米文学、英語教育学に関する研究文献や各種の資料を読み解き、自らの研究において適切にそれらを活用することができることはもちろんのこと、自らを深く知り、研究を通じて自らを不断に成長させる高度専門職業人を育成することを目的としています。

また、国際日本学コースでは、国際社会において求められる教養と、日本語あるいは英語のより高い運用力を基礎に、日本の文化を深く考察し、それらの研究を通じて自らを不断に成長させる高度専門職業人を育成することを目的としています。

[英語学、英米文学、英語教育が主要分野]—国際コミュニケーションコース

[日本語学、日本文学、日本文化が主要分野]—国際日本学コース

国際コミュニケーションコースでは、国際共通語としての英語の高度な運用能力と英語学、英米文学、英語教育学における研究哲学・研究概念・研究理論に関する高度な専門的知識を修得し、それをもとにテーマを決めて研究に専念します。

また、国際日本学コースでは、国際共通語としての英語の高度な運用能力と日本語学や日本文学、日本文化などにおける概念・理論に関する高度な専門的知識と研究方法を修得します。 両コース共に、研究遂行の基礎となる、文献を読み解くための語学力、資料収集・実地調査の方法、収穫した情報を分析し解釈する能力、研究成果を発信する能力を養います。これらの能力を身に付けさせるために、本専攻においては研究資料や設備、教員組織、カリキュラムの整備・充実に努力し、優秀な英語教員、国語科教員や高度専門職業人を育成しようとしています。

[国際的・学際的分野も加味]

2020年以降、通信手段の進歩・普及とより高度化したICT技術の利用の面において劇的な変化を経験しています。これらの変化に対応することに加え、国際的、学際的分野について、複眼的視野のもとに獲得される知識やスキルの修得もめざします。英語と日本語を活用して、国内外の異文化に研究の視野を広げ、他者の価値観を尊重し、自分の生き方が相対化できる、あるいは国際的視野から日本の伝統文化や最先端の文化及び日本語についてより深く学び、自国文化の本質と問題点を複合的な視座から論理的に他者に発信することができるよう学問の射程を広げています。

カリキュラム

本専攻のカリキュラムは、教育上の目的を達成するために必要な授業科目を置くとともに、学位論文の作成等に対する指導を行うなど、体系的な教育課程を編成しています。このため、授業科目及び学位論文の作成等に対する指導科目をそれぞれ「専門科目」と「専門演習科目」に区分し、それぞれ22単位以上、8単位以上の修得が必要となります。国際コミュニケーションコースでは、英語学、英米文学、英語教育学に関する専門分野の理論的な知識と実業界、教育界の現場での実務経験をブリッジする教育課程を構築しています。そのために、コースワークから研究指導へ有機的につながる体系的かつ組織的なものになっています。加えて、高度な知識とその運用力を持つ英語教員を養成するための、英語学、英米文学、英語教育学の各分野と有機的に結び付いた充実した科目を用意しています。
また、国際日本学コースは、日本語や日本文学、文化を、世界との関わりの中で国際的かつ学際的に広く学ぶ科目群を配置しています。また、日本文化を長い時間的推移の中で、歴史的に学ぶ科目体系も用意しています。さらに、本コースは日本語教育における高度な知識とその運用力を持つ国語科教員を養成できるように、充実した科目を用意しています。

コース紹介

国際コミュニケーションコース
英米の言語・文化・英語教育の
理論を実践・応用できる力を養う

国際共通語としての英語の高度運用能力と英語学、英文学、文化地理学の知識を修得。言語への考察を深める「言語学領域」、教育学や教授法を追求する「外国語教育領域」、異文化マネジメントを中心とした「海外文化・コミュニケーション領域」の選択科目を設置しています。

国際日本学コース
日本の言語文化を追求し、中国と
日本など世界の架け橋になれる人材へ

日本文化を世界との関わりのなかで国際的かつ学術的に研究し、日本文化の価値を発信できる力を養います。幅広い学修を通じて、留学生であっても高度な日本語の知識と運用力の修得をめざすことができます。