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2025.10.01

消費型読書と生産型読書

 10月になり、秋学期が始まりました。読書の秋という言葉がありますが、秋に読書が似合うのは、秋の夜長のためのみならず、この季節は、それまで夏の暑さから逃避するだけで精一杯だった脳に余裕ができ、何か新しい刺戟としての知識を欲しているからかもしれません。

 夏休み前の7月24日、学長杯ビブリオバトルが、アラムナイライブラリー3階アカデミック・アリーナで行われました。今年は理工学部も加わり、9学部のチャンプたちによる決勝が繰り広げられました。優勝に当たる学長杯には社会学部の西輝樹君の「口に関するアンケート」、二位に当たる図書館長杯には経営学部の古市大河君の「近畿地方のある場所について」、三位に当たる将軍山会会長賞には、文学部の水上心響さんの「殺人事件に巻き込まれて走っている場合ではないメロス」が選ばれました。恥ずかしながら、私はどの作品も読んだことがありませんでした。

 ところで、ビブリオバトルのプレゼンのためには、少なくとも2段階の読書作業が行われています。先ず、対象を選ぶためのざっくりとした内容把握のための読書、次に、プレゼンの構成のための内容吟味の読書です。いずれも、最終的にはプレゼンの作成すなわち生産に向かっているので、これらを仮に生産型読書と呼ぶことにします。
 これに対し、普段の趣味や娯楽のための読書は、読み終わればその時点で完遂するので、いったん、消費型読書と呼ぶことができます。
 両者は、同じように見えて、実は全く違う行為です。例えば小説を読む際、消費型読書の場合は、ストーリーが追えれば、多くの読者は満足して本を閉じるものと思われますが、それを基に、読書感想文やレポートを書くことなどを求められた場合には、そうはいきません。作品の構造に注目したり、他の作品と比較したりしながら、何度も読み直し、また部分に分けて読む必要があるからです。
 どちらがいいか悪いか、どちらが正しいのかなどの問題ではありません。大切なのは、これら二つの読み方を意識的に区別して行うことで、読書行為から得るものがとても豊かになる点です。

 読書の秋です。皆さんも、ぜひいろんな本を手に取り、試してみてください。本には宝物がたくさん詰まっていますから。

学長杯 ビブリオバトル グランドチャンプ大会 2025 ダイジェスト

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