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2026.01.15

小正月と時間

 新年が明けてもう半月過ぎました。1月15日は小正月で、女正月とも呼ばれます。本来は旧暦の1月15日、すなわち、1年で最初の満月の日でした。私の両親は葡萄農家でしたが、農家ではこの小正月を、元日(大正月)以上に大切にします。幼い頃は、私の家でもこの日までが松の内で、村でも注連縄などの正月飾りをどこかの田んぼに集めて「とんど」で燃やしました。
 成人の日も、いわゆるハッピーマンデー制度によって第二月曜に移る年の前年1999年まではこの15日で、成人式もこの日に行われました。
 このように、年中行事の日付も様々な理由で変化します。それに伴い、暦日の感覚もずれていきます。そもそも行事自体が失われていくことも、最近では多くなってきました。そのうち、正月には雑煮を食べて年賀状をやり取りしていたことなども、知らない人が増えていくのでしょう。歴史とはかくも移ろい易いものです。
 皆さんが今、見聞している様々な行事や習慣も、この時代の時間感覚をまとったものです。どんな物事でも、いつかはなくなるかもしれない、と思うと、見え方も変わってくると思います。

 ところで、成人式については、私には少し恥ずかしい思い出があります。どういうわけか、新成人の代表の1人として、壇上で花束を受け取る役割が回って来たのはいいのですが、意気揚々と階段を降りる際、蹴つまずいてしまったのです。幸いよろけただけで転ぶことはなかったのですが、皆が笑うし、知り合いは「わざとやろ」と冷やかすし、で、大人としての行く末が思いやられるスタートでした。
 その思い出を同級生と話しても、そんなこと、誰1人覚えていません。自分だけが、その時の景色と気分を鮮明に覚えています。私に限らず、人間は、何かにつけて、多分に自意識過剰なのでしょう。それでも、自分だけしか思い出せない出来事は、私の成人の日当日という特別な時間の記憶をまとっています。

 私は毎年、元日に、1年のテーマを決めていますが、今年は、upgradeという言葉にしました。皆さんは、今年1年をどのような年にしようと考えていますか? 皆さんにとっては、いずれにしても、学生時代という特別な時間性をまとった1年です。ぜひこれを意識して過ごしてみてください。

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