教育理念 -追手門学院大学の教育理念-
学院全体の教育理念と開学の趣旨
「独立自彊・社会有為」が、学院に共通する教育理念である。
追手門学院は、大阪偕行社附属小学校を起源とする。この小学校は、1888年(明治21年)、陸軍将校の親睦団体である大阪偕行社の中心的人物であった大阪鎮台の司令官高島鞆之助が、「国家有為の人物」の小学校時代からの育成を目指し設立したものである。
ここでいう「国家有為の人物」とは、偏狭な国粋主義者ではなく、学芸や武芸の修練に努めて切磋琢磨し、礼儀を正しくして品性を高め、秩序を守ることができる人物のことである。現代では「社会有為の人物」という語に置き換えられている。
「独立自彊」の「彊」は「他者と一線を画し、弓を硬く張ったように揺るぎないこと」を意味する。「独り立ちして、他者に惑わされることなく、強く生きる」人物を育成することが、開学以来の教育理念として継承されている。
大学の教育方針
追手門学院大学は、1966年(昭和41年)に、茨木市安威の地に開設された。
大学創立以来50数年を経て、時代は大きく変化し、これに見合った教育方針が必要とされてきた。
こうした時代の要請に応えるべく、学院全体の新教育を象徴する新概念として「WIL(Work-Is-Learning)」を提唱し実践に移している。「行動して学び、学びながら行動する」という学修様式である。
大学においては特に、「追大WIL」として、主体的に学び、協働して問題解決に当たる、討議や口頭発表、フィールドワークやワークショップ形式を中心とした学びのスタイルを推進している。そこにはグループワークやチームワークも積極的に取り入れられている。
教育方針についても、新たに、「高い志を持って主体的に学び、新しい社会の創出・発展に協働的に関わることのできる資質・能力・人間性を有する人物」を育成することを謳った。そこで育成されるより具体的な人物像は、以下のとおりである。
- (1)創造的に問題解決を図り、生涯にわたって学び続ける強い意志のある人物。
- (2)他者の多様な考え方や生き方を尊重し、実践的な経験を通して豊かな人間関係を形成できる人物。
- (3)生涯の基盤となる能力を持ち、専門的知識・技能を活用して思考・行動できる人物。
追手門学院大学は、これらの人材養成目的に沿って、以下のような力を育成するべく、教育を展開する。
- ①予測困難な未来社会において、答えのない問いに積極的に立ち向かう力。
- ②生涯にわたって学び続けることのできる力。
- ③常に日々の革新を旨とし、自己についてよく知る力。
- ④複雑で多様な環境と人間関係の中で、他者を理解し、協力共存できる力。
- ⑤幅広い興味と教養を持ちつつ、一つの課題について深く集中することができ、時流に乗るだけではなく時代を創出することのできる力。
グローバル化と技術革新の進展により、社会の変化のスピードがますます加速している。予測困難な未来社会においては、答えのない問い、【Question With No Answer】に立ち向かい続けることが必要になる。そうした環境下では、既存の知識やノウハウの転用だけでは通用しないばかりか、多くの場面で既存の知識体系や枠組みを超越した【Innovation】を生み出すことが求められる。
イノベーションは、ビジネスや技術開発の現場だけで必要なことではない。激しい社会変化に適応していくためには、自己革新とも呼べる動きが必要となる。人生100年時代。自己のありようを深く洞察し、常に日々の革新を旨として生涯にわたって学び続け、変化し続ける【Lifelong Learning】を実践する生涯学修者となることが、あらゆる人に求められている。
また、今後さらなる情報通信技術の進展により、時空間の壁を超えた協働が可能となる。複雑で多様な環境と人間関係、いわゆる【Diversity】の中で、他者を理解し、協力共存できる力を備えた人物が、社会で希求されている。イノベーションは、こうした個と個の対話から生まれる。
基礎的なスキルを身につけ、幅広い興味と好奇心に導かれた深い教養、そして一つの課題について深く集中する情熱を併せ持ち、時流に乗るだけではなく時代を創出することのできる人材。未来社会で躍動する人々の共創の拠点となるべく、追手門学院大学は常に社会と交わり、未来社会をリードする【Just in Time】の教育活動を進展していく。
追手門学院大学の教育目的
追手門学院大学では、各学部において、教育目的をそれぞれ次のように定めています。
文学部
文学部に、人文学科を置く。人文学科では、日本文学・日本語・日本史・日本文化に関する学びを通して、高い理解力と思考力を身に付け、専門的知識を活用して思考・行動ができるとともに、創造的に問題解決を図り、新しい文化や時代を創出することができる人材を養成することを目的とする。
国際学部
国際学部に国際学科を置く。国際学科では、英語をコミュニケーションツールとして、複雑化する国際的諸問題をグローカルな視点から把握・理解し、専門的知識やスキルを活用して問題解決を図り、国際社会に貢献することができる人材の養成を目的とする。
心理学部
心理学部に、心理学科を置く。心理学科では、幅広い教養的基礎のうえに、認知・脳科学系心理学、生涯発達・生涯教育系心理学、臨床系心理学、社会・犯罪系心理学、及び情報科学に関する基礎知識を学ばせるとともに、専門領域として以下の内容を重点的に学ばせる。
- (1)人の心のケアと福祉に関わるメンタルケア
- (2)人の生涯の発達と教育のサポートに関わるチャイルドサポート
- (3)企業に就職して種々の仕事に役立てるビジネスリサーチ
- (4)情報科学の知識やスキル獲得に留まらず、認知科学的視点から人間の特徴についても学び、多様な分野の仕事に役立てる人工知能・認知科学
これらの専門領域としての学びと心理学や情報科学の基礎知識を様々な職業に生かし、自己実現をめざす豊かな人間性を持つ人材の育成を目的とする。
社会学部
社会学部に、社会学科を置く。社会学科では、基礎的教養としての社会学的知見を理解し、常識にとらわれない社会学的なものの見方ができ、独創的な企画力をもった、人間性豊かな自立した市民、職業人を育成することを目指すものである。現代社会が直面する重要な問題、課題を実践的に学び、現代の社会と文化のあり方を追求し、新しい人間と社会のあり方を構築することは今日の社会的要請である。このため、社会学の各専門分野にわたり学生に学ばせ、人間社会に対する優しさと厳しさをあわせ持つ健全な人間社会の構成員として活躍する人材の育成を目的とする。
法学部
法学部に、法律学科を置く。法律学科は、法律に関する基礎的・基本的な知識と技能の習得のもと、法律の理論や手法を活用し、法律に関する諸活動を主体的・合理的に行うことのできる能力と態度を育成することを目的とする。
経済学部
経済学部に、経済学科を置く。経済学部では、国際的視野に立ち、幅広い教養とともに経済学の系統的な理解が身に付くよう、段階的に主体的な学習を促す。商都大阪の歴史ある教育環境のもと、創意と工夫、規範と責任をもって社会や地域の担い手となる、独立自彊・社会有為の人材を育成する。
経営学部
経営学部に、経営学科を置く。経営学部では、経営及び関連領域に関する知識の獲得と実践的な経験を通して、企業などの組織に関するさまざまな活動に応用できる能力を身につけた社会的責任感のある人材を養成する。
地域創造学部
地域創造学部に、地域創造学科を置く。地域創造学科では、「地域政策」「地域デザイン」「観光」「食農マネジメント」に関する学修を通じて、幅広い専門知識と教養を身につけ、職業人として、また地域の生活者として、生涯にわたり学び続けるとともに、持続可能な地域・社会を創造することに主体的に参画する地域イノベーション人材を養成する。
- (1)地域の様々なヒトや団体と連携・協働し、地域・社会に新たな価値を創造することやより豊かな地域・社会を形成すること、持続可能な社会の創造に主体的に参画できる人材。
- (2)地域政策や地方自治、自治体や中小企業の活動などに関心をもち、地方公共団体や地元企業など、地域に根付いたフィールドで活躍できる人材。
- (3)インテリアや住居などをはじめとしたハードウェアや都市・空間といった生活環境をデザインすることに関心をもち、地域の特徴に適した新しいコミュニティやインフラ等を生み出す分野で活躍できる人材。
- (4)観光政策、観光産業、観光ビジネスなどに関心をもち、地域密着型観光ビジネスの企画・立案をすることができる人材。
- (5)6次産業化、商品開発、アグリビジネスなどに関心をもち、食農資源を活用するための知識を活かした農業・食品産業の発展に寄与できる人材。
理工学部
理工学部に、数理・データサイエンス学科、機械工学科、電気電子工学科及び情報工学科を置く。
理工学部は、組織として研究対象とする中心的な学問分野を「理工学分野」として、理工学分野に関する教育研究を通して、「理学と工学の両方の立場から、科学技術に関する研究と教育を実践する」ことを目的とする。
数理・データサイエンス学科では、「数理科学」「データサイエンス」に関する教育研究を通して、数理科学、データサイエンスに関する基礎的・基本的な知識と技能の修得のもと、数理科学、データサイエンスの理論や手法を活用し、数理科学、データサイエンスに関する諸活動を主体的・合理的に行うことのできる能力と態度を育成することを目的とする。
機械工学科では、機械工学分野に関する教育研究を通して、機械工学に関する基礎的・基本的な知識と技能の修得のもと、機械工学の理論や手法を活用し、機械工学に関する諸活動を主体的・合理的に行うことのできる能力と態度を育成することを目的とする。
電気電子工学科では、電気電子工学分野に関する教育研究を通して、電気電子工学に関する基礎的・基本的な知識と技能の修得のもと、電気電子工学の理論や手法を活用し、電気電子工学に関する諸活動を主体的・合理的に行うことのできる能力と態度を育成することを目的とする。
情報工学科では、情報工学分野に関する教育研究を通して、情報工学に関する基礎的・基本的な知識と技能の修得のもと、情報工学の理論や手法を活用し、情報工学に関する諸活動を主体的・合理的に行うことのできる能力と態度を育成することを目的とする。
追手門学院大学大学院の教育目的
追手門学院大学大学院では、各研究科において、教育目的をそれぞれ次のように定めています。
経営・経済研究科
経営・経済研究科は、経営学・経済学の両分野にわたる基本理論と論理的思考法を広く学び、企業・団体のビジネス分野あるいは公共機関の政策・経営分野における理論と実践事例の分析力及び課題発見・解決力を培い、プロフェッショナル・キャリア開発の基盤となる自立的研究力を有する高度職業人材を養成することを目的とする。
心理学研究科
心理学研究科は、心理学の専門資格を有し心理職に就き活躍できる高度専門職業人の養成、人工知能と認知科学を中核にした人と人工知能の調和のとれた社会の発展に貢献する人材の養成、知識基盤社会を支える高度な心理学の専門的知識を有する教養人の養成、及び将来は研究者となるための人材を養成することを目的とする。
現代社会文化研究科
現代社会文化研究科現代社会学専攻は、社会学に関する高度な専門的知識を基盤として、現代社会の全体像を多元的に研究することを通じて、複雑化する様々な社会問題の解決や地域社会の持続性を目指して学術研究する能力を備え、現代社会のイノベーションや地域社会の持続性に寄与する高度専門職業人を養成することを目的とする。
また、国際教養学専攻は、国際的通用性のある教養と、英語あるいは日本語のより高い運用力を持ち、自らを深く知り、研究をとおして自らを不断に成長させる人材を育成し、国際共通語としての英語を活用して、世界中の異文化に視野を広げ、他者の価値観を尊重し、自分の生き方が相対化できる高度専門職業人、あるいは国際的視野から日本の伝統文化や最先端の文化及び日本語についてより深く学び、自国文化を積極的に他者に発信することができる高度専門職業人を養成することを目的とする。
追大の新教育
グローバル化やデジタル化、AIをはじめとするさまざまな技術の融合により、社会はより複雑化・高度化しています。それに伴って、これからの時代では学ぶ内容も変わっていき、知識も古くなってしまいます。このような時代では、知識を吸収するだけではなく、学び方を身につける必要があります。学び方を身につければ、卒業してからも変化に合わせてアップデートすることができ、生涯にわたって成長し続けることができるのです。
WILで正課・課外を越えた学びへ
WIL(Work-Is-Learning)は、主体的に学び、協働して問題解決にあたる追手門学院大学独自の学修スタイルです。予測が困難な状況下では、行動しながら自ら課題を発見し、その解決に必要な知識や技術・能力を獲得しながら、課題に立ち向かい続ける必要があります。行動(Work)を通じて学修(Learning)を行い、それを即実践に反映する経験を蓄積することで、予測困難な状況の中でも行動し、学び続けることができる力を養います。
「学びあい、教えあい」で成長の可視化を
「学びあい、教えあい」は、主体的に学び、協働して取り組むことで成長を促す学修スタイルの一つです。本学では、教員が「何を教えるか」より、学生が「何をできるようになるか」を重視する学修者本位の教育を目指しています。正課や課外のさまざまな学生生活における、多様な個性を持つ人の「学びあい、教えあい」の場は、学生自身の成長の可視化と実感を促し、学び続ける姿勢の涵養にもつながります。
新教育を実質化させるMATCH
時代のあらゆる変化に適合した学びへ
気候変動やパンデミック、急速に進むデジタル化など、今後の予測不可能な時代の到来に向けて、時代のあらゆる変化に対応し、困難な状況下でも自らが立てたゴールに向かって、その時々に合わせた最適な手法を選択し、乗り越えていく力が求められます。
MATCH(MAximized-TeaCHing)は、ICTを含めたあらゆる手法を駆使し、教育内容に合わせた(MATCH)教育効果を最大化する追手門学院大学独自の教育手法です。
教育インフラの整備、教育の枠組みとコンテンツの充実を図り、さらにアセスメントポリシーに基づいたPDCAサイクルを実施。
アセスメント結果をフィードバックしながら、学生にとって常に最適なカリキュラムの提供を目指し、”供給者本位の教育“から”学修者本位の教育”への転換を図ります。
3つのポリシー
追手門学院大学では、各学部において、ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)、アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)を次の定義に基づき定めています。
ディプロマ・ポリシー
各学部の学位授与方針をディプロマ・ポリシーとして掲げています。
これは、学部の教育目的に基づき、どのような力を身に付けた者に卒業を認定し、学位を授与するのかを定める基本的な方針であり、学生の学修成果の目標ともなるものです。
どのような学修成果に対し卒業を認定し、学位を授与するのかという方針を示しており、卒業後のキャリアも見据え、卒業時に「何ができるようになっているか」が明示されているといえます。
カリキュラム・ポリシー
教育課程の編成・実施方針をいいます。
ディプロマ・ポリシーの達成のために、どのような教育課程を編成し、どのような教育内容・方法を実施し、学修成果をどのように評価するのかを定める基本的な方針です。
ディプロマ・ポリシーを踏まえ編成されている学部・学科の教育課程にて、どの科目がどういう学習成果と関係するかが示されています。このカリキュラム・ポリシーはカリキュラムマップに可視化されていますのでよく確認してください。学修方法・学修過程について理解することで、よりよい学びに繋がります。
アドミッション・ポリシー
各学部・学科の教育目的、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーに基づく教育内容等を踏まえ、どのように入学者を受け入れるかを定める基本的な方針であり、受け入れる学生に求める学習成果(「学力の3要素」※についてどのような成果を求めるか)を示すものです。
※(1)知識・技能、(2)思考力・判断力・表現力等の能力、(3)主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
科目ナンバリング
科目ナンバリングとは、学科科目および共通教育科目に固有の番号を付して分類したものです。これにより、学修の段階や順序等を表し、教育課程の体系性を明示することができます。
各授業科目にどのようなナンバリングが施されているかは、シラバスや後述のカリキュラムマップ上で確認することができます。
【ナンバリング例】
学部番号 | 大科目区分 (ディプロマポリシー) |
中科目区分 | 難易度 | 連番 |
---|---|---|---|---|
LH:文学部 人文学科 | 各学部のディプロマポリシーに相応する科目群ごとに数字を付与 | 大科目区分の配下の科目区分について、順番に数字を付与 | 4:高い 3: 2: 1:低い |
原則として、該当の中科目区分かつ難易度の科目について、下から順番に割り振った番号 |
WA:国際学部 国際学科 | ||||
PP:心理学部 心理学科 | ||||
FS:社会学部 社会学科 | ||||
UU:法学部 法律学科 | ||||
EE:経済学部 経済学科 | ||||
MM:経営学部 経営学科 | ||||
JJ:地域創造学部 地域創造学科 | ||||
KD:理工学部 数理・データサイエンス学科 | ||||
KM:理工学部 機械工学科 | ||||
KE:理工学部 電気電子工学科 | ||||
KC:理工学部 情報工学科 | ||||
LA:共通教育 |
カリキュラムマップ
各学部では、前述の3つのポリシーおよび科目ナンバリングと、科目構成の関係を可視化すべく「カリキュラムマップ」という一覧表で示しています。
カリキュラムマップは、当STUDYGUIDEの「学部・学科情報」より参照することができます。
この表を確認し、学位授与に向けて何を学ぶのか、何につながるのかを理解することで、履修登録の際はもちろんのこと、普段の学修にも役立てることができます。