追手門学院大学STUDYGUIDE2024

心理学部

心理学部心理学科のカリキュラムの成り立ちと専攻制の説明

 心理学部心理学科では、単に心理学を学ぶというのではなく、自分の将来の目的に応じて、 自ら心理学を中心とする学問領域の中から必要な心理学や情報科学に関する知識を選びだして学ぶという考えの基に心理学専攻と人工知能・認知科学専攻の専攻を設け、カリキュラムが構成されている。また、単に心理学や情報科学に関する知識を得るだけではなく、各自が直面する現実で“使える”学問的知識の習得を目指した系統的なカリキュラム構成となっている。このように、生き方に応じた心理学や情報科学の学習と、心理学や情報科学に関する使える知識の習得を目指した点が、心理学部心理学科の学びの最大の特徴である。

心理学部心理学科のカリキュラムの基本方針は、以下のとおりである。

<両専攻共通事項>
  • ニーズに応える多様な心理学の科目を用意し、科目間の構造化を図る。 さまざまな生き方、興味、関心に応じて学ぶことを保証する多様で多彩な心理学の科目を用意している。どの科目をどのような順序で履修するかを年次配当により順序づけをすることで、明確にしている。
  • 総合科目の導入 心理学の総合的基礎教育を達成するために、総合科目群を導入している。総合科目は1、2年次に配置し、心理学の基礎知識の習得をめざすほか、自らの将来を見据えて、3、4年次に専門的な科目が履修できるように科目が配置されている。具体的には、1年次に心理学の基礎知識を習得するための心理学概論1及び心理学概論2、2年次に職業としての心理学を理解するために心理学総合科目を設定している。
  • 大学における目的・生涯の目的を考える科目を設定する。 ライフスタイル演習(自分を知り、他者と関わり他者を知る/自分の将来設計/キャリアプランニング)、心理学総合科目(職業としての心理学(心理職とその仕事内容、技能ガイダンス科目))など、自分を知り、将来を見据え、大学における学習の意味づけをすることで、計画的に大学で過ごし、学習の動機を高める。
  • 実践的科目の導入 3年次以降に、実践プログラム(メンタルケア演習、チャイルドサポート演習、ビジネスリサーチ演習、リサーチャー演習、心理演習)、心理実習1・2などの科目を設定し、実際的な場面で使える心理学的知識の習得をめざした科目群(実践演習)を設定する。 また、教養のための科目として基盤教育科目の修得と心理学科における総合科目の一つである心理学概論1、心理学概論2、各系の入門科目(認知・脳科学概論、生涯発達・生涯教育心理学概論、臨床心理学概論、社会・犯罪心理学概論、人工知能・認知科学概論)による心理学への導入がなされる。さらに生き方を考えるためのライフスタイル演習、心理学総合科目など、自分を知り、将来を見据え、今の学習の意義づけをすることで、計画的に大学生活を過ごし、学習の動機を高めるための科目を用意し、これを2年間で履修するカリキュラム構成にした。
<心理学専攻>
  • 科目設定に関しては、4つの専門コースを設定 概論系科目、特殊講義系科目、演習系科目については、認知・脳神経科学コース、発達・教育心理学コース、臨床心理学コース、社会・犯罪心理学コースを明確に分け、各コースで学ぶべき科目を年次ごとに系統的に配置している。
  • 進路・目的に応じた実践プログラムの設定 生き方に応じた進路として以下3つのプログラムを設定し、それに対応するプログラム演習を設けている。 メンタルケアは、人の心のケアと福祉に関わる仕事に就く人に向けたプログラムである。チャイルドサポートは、子どもの発達と教育のサポートに関わる仕事に就く人に向けたプログラムである。ビジネスリサーチは、企業や公務員などの種々の仕事に役立つ心理学を学ぶ人に向けたプログラムである。このプログラムは多様で、セールス、製造、企画、人事、コンサルティングなど企業で必要とされる知識や技能、あるいは調査データの分析、分析結果に基づく施策立案など近年の公務員にも必要とされる知識や技能が含まれる。 いずれのプログラムも、各コースの内容をさらに専門的に学ぶために大学院を目指す学生も視野に入れて設計されている。
  • 専門コースと実践プログラムとの関係 専門コースは、心理学の学問領域に関する科目群である。本学では、認知・脳神経科学、発達・教育心理学、臨床心理学、社会・犯罪心理学の4つを設定している。実践プログラムは、心理学をどのように自分の生き方に反映させていくかという進路に関する科目群である。メンタルケア、チャイルドサポート、ビジネスリサーチの3つを設定している。4つの専門コースと3つの実践プログラムの組合せによって、各コースの専門性を実践の場で生かす力を身につけるためのカリキュラムとなっている。 そして、将来をある程度決定した後、3年次、4年次では自分の進路に合わせて必要な科目を計画的に修得するために、実践プログラム(メンタルケア演習、チャイルドサポート演習、ビジネスリサーチ演習、リサーチャー演習、心理演習など)、心理実習1・2を設定し、現実的に社会に出てから必要とされる使える心理学の知識や技能を習得できるようにした。
<人工知能・認知科学専攻>
  • 現代のニーズに合わせた実践的なプログラム 人工知能は一般的には情報科学と関わる分野とされる傾向が強いが、人間行動全般を扱う認知科学や心理学とも密接に関わっている。人工知能の研究では、人が行う知的行為(思考、運動、コミュニケーションなど)を数理的に再現することが大きな目標である。 より優れた人工知能を開発していくためには、コンピュータやプログラミングを中心とした情報科学に関わる知識のみならず、人間についての理解も必須である。特に、近年、人工知能が日常生活にさまざまな形で浸透していることを踏まえると、情報科学に関するスキルや知識を持つとともに、人の知性についての深い教養と洞察を備えた人材が、幅広い場面で求められると考えられる。 このような人材の育成を目標として、人工知能・認知科学専攻では、情報科学、認知科学と心理学に関わる科目からバランスよく配置し、学びを提供していく。
  • 2領域、5分野からのカリキュラム構成 言語メディア、画像・映像メディア、機械学習・データサイエンスの3 つの分野からなる人工知能領域と、思考・意思決定、身体性認知・制御の2 つの分野からなる認知科学領域を軸に、カリキュラムを構成している。人工知能領域では、画像処理、音声認識、自然言語処理、学習アルゴリズムなどに関わる科目を開設し、情報科学に関するスキルと知識を幅広く学ぶことができる構成となっている。認知科学領域では、人間の思考の分析や、身体制御に関わる科目を開設し、人間の思考や身体性を中心に学ぶ構成となっている。
  • 4年間での学び 学年に応じて、基礎的な内容から応用的な内容までカバーした学びを進める。1、2年次では基盤教育科目からコンピュータとプログラミングの基礎を、学科科目である基幹科目からは5つ分野の基礎から応用までを幅広く学ぶように設定している。加えて人への理解を深めるために心理学専攻の開設科目から人工知能・認知科学専攻と深く関わる内容を履修できるように設定している。3 年次以降は5 つの分野のいずれかの研究室に所属した上で専門的な科目を履修する。

    このように、心理学部心理学科においては、学生が目指す自分自身の生き方の実現化に資する心理学を学ぶことを目指す。このために、1年次には幅広い心理学的知識を身につけるとともに、各専攻・領域の入門科目を通して各自の興味・関心を育てる。そして、2年次前半には、自分を知り、他者との関わり方を学び、いろいろな心理に関連する職業の特徴について学習し、生涯の目的を考える科目を設定することにより自分の生き方を明確にして、2年次後半からはその生き方に沿って自分に必要な心理学を学ぶことを目指す。心理学科では、これを実現するための教育課程を編成した。 最後に、より専門的に関心のある各専攻・領域を学ぶための科目(ゼミナール)として、3年次に特別演習1、特別演習2を設定し、最終的に4年次には卒業研究において大学で学んだ心理学の知識と情報科学に関する知識・技能についての集大成を行う。なお、心理学科では、教学関係の相談などに個別的に応じるために、各学年に教員をアカデミックアドバイザーとして配置して、学習や修学に関する相談を受けている。

心理学部の各コースのカリキュラムモデル

 心理学部心理学科では、学生の皆さんの学び指針として、以下の通り、カリキュラムのモデルを提示しています。皆さんの将来に向けての学びの指針として活用してください。なお、ここに挙げた科目は、各コースの推奨科目です。複数コースを学習することも可能です。

  • 社会・犯罪心理学コース
    社会・犯罪心理学コース
  • 認知・脳神経科学コース
    認知・脳神経科学コース
  • 発達・教育心理学コース
    発達・教育心理学コース
  • 臨床心理学コース
    臨床心理学コース

内は、大学院に進学する学生に更に履修を奨励する科目

※本カリキュラムモデルは、心理学部の開口科目をすべて記載したものではなく、各コースにおいて履修が望まれる科目の概要である。

認定心理士資格取得のための科目と必要な単位について

 公益社団法人日本心理学会が認定する「認定心理士」資格を取得するには、下記の科目を、それぞれの要件にしたがって、在学中に修得する必要があります。そして、卒業後、各自で所定の申請書類と審査料とともに認定委員会に送付し、審査を受ける必要があります。

1.基礎科目

以下のa、b領域それぞれから4単位以上、c 領域は4単位以上を修得し、計12単位以上修得すること。

  1. (a)心理学概論
    「心理学概論1」「心理学概論2」「心理学の歴史(1単位)」
  2. (b)心理学研究法
    「心理学統計法1、2」「心理学研究法」「心理学的データ解析」「心理的アセスメント」
  3. (c)心理学実験・実習
    「心理学実験」「心理検査実習1、2」「認知神経心理学演習」「心理調査法実習」
2.選択科目

以下の5領域中3領域以上で各領域が少なくとも4単位以上かつ5領域の計が16単位以上

  1. (d)知覚心理学・学習心理学
    「知覚・認知心理学」「認知心理学」「感情心理学」「認知神経科学特講」「認知心理学特講」
  2. (e)生理心理学・比較心理学
    「神経・生理心理学」「比較心理学」「認知神経心理学」「認知神経心理学演習」
  3. (f)教育心理学・発達心理学
    「発達心理学」「教育心理学」「子ども学」「教育・学校心理学」「生涯発達心理学特講」「生涯教育心理学特講」
  4. (g)臨床心理学・人格心理学
    「カウンセリング心理学」「心理学的支援法」「感情・人格心理学」「精神分析学」「心理療法」「障害者・障害児心理学」「医療臨床心理学」「遊戯療法論」「健康・医療心理学」
    「司法・犯罪心理学」「犯罪心理学特講」「司法臨床心理学」
  5. (h)社会心理学・産業心理学
    「家族心理学」「社会心理学」「対人行動論」「社会の心理」「産業・組織心理学」「社会心理学特講」
3.その他の科目

 上記(a)~(h)の複数領域に関わる心理学関連科目および「卒業論文」・「卒業研究」から最大4単位を修得すること。なお、「卒業論文」・「卒業研究」は心理学に関連したテーマであることが必要であり、認定に必要な単位としては最大4 単位までを認める。  以上の各領域にあげた科目は「認定心理士」に求められる最も重要な必修的知識や技術を含む最も望ましいとされる標準的な科目です。なお、上記科目以外にも若干条件を緩くして各「領域」の必要単位にすることの出来る科目も多数あります。それらについては公益社団法人日本心理学会のホームページを参照してください。

公認心理師資格取得のために必要な学部科目について

 「公認心理師」とは、公認心理師法が定める条件を満たした上で、国家試験である公認心理師試験に合格した者に与えられる国家資格です。公認心理師法では、公認心理師になるために、4年制大学において省令で定める科目を履修及び単位修得した上で、

(1)大学院において省令で定める科目を履修及び単位修得すること
(2)省令で定める期間の実務経験を積むこと

のいずれかを満たす必要があると定められています。したがって、学部において科目を履修及び単位修得するだけで得られる資格ではないことに注意してください。

1.本学で開講する公認心理師資格取得に必要な科目(大学)

 公認心理師法が定める「大学における公認心理師となるために必要な科目」として、本学が開講する科目は、以下の25科目です(ただし、「心理実習1」及び「心理実習2」は両科目とも履修及び単位修得が必要です)。また、科目名の隣の「年次」の欄に記載されている数字が、その科目が開講される学年です。公認心理師の資格取得を目指す方は、以下の一覧を参考にして、計画的に履修しましょう。
 なお、「大学院における公認心理師となるために必要な科目」は別途定められています。

2.その他の注意点

 公認心理師法では、上記の25 科目の単位を卒業する前に修得する必要があることが明記されています。したがって、大学を卒業後に不足する科目の単位を修得しても、資格取得に必要な科目要件としては認められませんので注意してください。
 上記の科目によっては、履修するための条件が課されている場合があります。十分に注意して、計画的に履修及び単位修得をしてください。なお、上記の科目の単位修得をするだけでは、本学の卒業要件を満たすことはできません。卒業するためには、本学が定める卒業要件を不足なく満たす必要があります。
 公認心理師法の具体的な内容は厚生労働省のホームページを参照してください。

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