追手門学院大学 ロボット・プログラミング教育研究推進室ではソフトバンク社会貢献プログラム「産学連携連携プロジェクト」として、「人型ロボット Pepper を活用した新しいプログラミング教育の実践」の研究に取り組んでいます。近年、小学校ではプログラミング教育が必修化され、ICT環境の整備も進んでいますが、授業を担当する教員の専門知識や人材不足、また多くの端末を同時に扱う授業の負担などが課題となっています。そこで本研究では、ロボットが授業の進行役を担うことで、教員が児童のサポートに集中できる新しい授業モデルの可能性を検証しました。
今回の実践では、追手門学院小学校の3年生131名を対象に、小学校プログラミング教育のA領域である理科「電気の利用」の学習を発展させた授業を実施しました。授業では、アーテックリンクス(アーテック社)教材を使用し、LEDを点灯させるプログラムを作る活動を行いました。児童は「LEDを青く光らせる」「青と赤を順番に光らせる」などの段階的な課題に取り組み、最終的には歩行者用信号機をプログラムで再現することを目標としました。授業は、基本的な操作を学ぶ「STEP」と、学んだ内容を活用して挑戦する「チャレンジ」で構成され、子どもたちは試行錯誤しながらプログラミング的思考を身につけていきました。
この実践では、3クラスでは教員が授業を担当し、1クラスではPepper(ソフトバンク社)が授業を進行する形をとり、両者の教育効果を比較しました。Pepperには教員の授業の流れや発問をあらかじめプログラムし、画面や身振り手振りを使いながら児童に指示や問いかけを行います。児童はPepperの声に耳を傾けながら作業を進め、「できたものを見せて」という呼びかけにも積極的に応えるなど、ロボットを“先生”として受け止めて学習している様子が見られました。
授業後に行ったワークシートの分析では、課題の達成率において教員授業とロボット授業の間に有意差は見られませんでした。この結果から、人型ロボットによる一斉授業でも一定の学習効果が得られる可能性が示されました。また、ロボットが授業進行を担うことで、教員は児童一人ひとりへの支援に集中でき、授業の質の向上や教員の負担軽減にもつながる可能性が示唆されました。
今回の実践は、ロボットを単なる教材としてではなく、授業を進行する「教育エージェント」として活用した点に特徴があります。今後、ロボット技術と教育を融合させることで、地域や学校による教育格差の解消や、より効果的なプログラミング教育の実現が期待されます。
本研究について、日本STEM学会拡大研究会(2026年3月1日)で発表しました。
「人型ロボットPepperを主教諭とした小学校プログラミング教育実践授業と教育効果の検証」
https://www.j-stem.jp/wp/wp-content/uploads/2026/02/B-3.pdf
これからも新しい教育の可能性を探りながら、子どもたちの主体的な学びを支える取り組みを進めていきます。








