【豪亜研】開催報告 2026年度 第1回研究会(7/22)
2026年7月22日(水)、オーストラリア・アジア研究所主催の学内向け研究会を開催しました。
4月に新しく所員として就任した今村祥子先生の自己紹介を兼ねた研究紹介、所員・客員研究員らの最近の研究活動報告、意見交換など、研究者間の活発な交流が行われました。
オーストラリア・アジア研究所では、今後も年2回程度のペースで研究会を実施し、研究活動の情報共有などを行う予定です。
交流を通じ新たな知見を得て、研究者同士のつながりを深めることにつなげたいと考えています。
以下、今村祥子先生からの発表レポートを掲載いたします。
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演題 :「インドネシア:なぜ民主主義は『後退』したのか」
発表者:今村祥子
追手門学院大学国際学部准教授/オーストラリア・アジア研究所所員
このたびの研究会では、新たな所員としての自己紹介も兼ね、私の専門であるインドネシア政治に関する発表の機会をいただきました。発表の中心的テーマは1998年に民主化を遂げたインドネシアの政治状況でしたが、まずは所員の皆さんにインドネシアを身近に感じていただきたく、日本・インドネシア関係の現在について少しお話ししました。
日本とインドネシアが戦後維持してきた友好関係は、今も健在です。しかし、日本がインドネシアの支援国および貿易相手国として圧倒的な存在感を持っていた時代は、過去となりつつあります。
たとえば、中国は貿易額と投資額のいずれにおいても日本を抜き去りその差は拡大する一方です。加えて、人材不足が深刻な日本では、インドネシアからの人材に支えてもらう分野がますます広がっており、日本が一方的にインドネシアを支援するという構図は成り立たなくなっています。日本・インドネシア関係を考える際、この変化を理解する必要があります。
このようなことをお伝えした上で、発表の後半では、本題であるインドネシアの民主主義の現在についてお話ししました。
すなわち、かつて民主化の成功例と評価されていたインドネシアが、なぜ近年は民主主義の「後退」の事例とされるに至ったかという問題です。
発表では、民主化後の流れを簡潔に振り返った後、直近の二人の大統領、ジョコ・ウィドドとプラボウォ・スビアントのもとで、なぜ、どのように民主主義が後退したのかを示しました。
1998年の民主化によって独裁者は去りましたが、政治と社会に深く根を張った要素(たとえば国軍の影響力や、社会に地盤を持たない政党など)により、民主化は容易に行き詰まることをインドネシアの事例は示しています。他方で、この閉塞した状況においても、民主と自由という価値のために闘い続ける市民もいます。
制度的には民主主義を維持していてもその質が後退していくという現象は、どの国にとっても他人事ではありません。
日本に暮らす我々も、インドネシアを含め世界の国々の政治状況を安全な高みから見物する立場にはないことを、改めて認識する必要があると思います。
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本件に関するお問い合わせは
追手門学院大学
オーストラリア・アジア研究所 まで
cas@otemon.ac.jp
