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【理工/電気電子】 高見剛教授の研究チームが全固体フッ化物イオン電池の固体電解質における広い電気化学的安定性(電位窓)を実証―産学連携で進める「共創的研究奨励制度」プロジェクトで成果

2026.09.18

理工学部電気電子工学科の高見剛教授が研究代表を務めるプロジェクト「固体電解質におけるフッ化物イオン伝導の制御と理解」の産学連携研究チームは、全固体フッ化物イオン電池の固体電解質における広い電気化学的安定性(電位窓)を実証し、その成果が2026年9月17日(米国時間)にアメリカ化学会(American Chemical Society)の科学雑誌『Inorganic Chemistry』に掲載されました。
また、独自の化学フッ素化の手法を特許として出願しました(特願2026-100005 「フッ素化されたカルシウム欠損ヒドロキシアパタイトおよびフッ素化されたカルシウム欠損ヒドロキシアパタイトの製造方法」)。

本プロジェクトは、北摂地域の知的ハブとして、学際融合・産官学連携・国際協働・ベンチャー創出など多様な研究活動を一体的に進め、大学内外に新たな研究価値を創出する「共創的研究推進センター」が設ける「共創的研究奨励制度」を活用して2025年4月より始動した産学連携・学際融合型プロジェクトです。

脱炭素社会の実現には再生可能エネルギーの導入拡大が不可欠です。一方、太陽光・風力発電は発電量が時間的・気象的に変動するため、発電した電力を安全かつ高効率に貯蔵する蓄電技術が必要となります。次世代電池の有力候補が全固体フッ化物イオン電池(FIB)です。リチウムイオン電池を凌ぐ性能を安全に実現できます。
しかし、室温作動のためには、固体電解質の高イオン伝導率と広電位窓の両立が望まれます。

本研究では、全固体FIB向けの有望な固体電解質として、フッ化物イオン(F)伝導性アパタイトを見出しました。構造および形態学的解析によると、Ca10−x(HPO4)x(PO4)6−x(OH)2−x(x = 0, 0.1, 0.2, 0.25, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6)中のOHが、150 ℃でXeF2を用いた化学的フッ素化によりFと置換されることが示されました。Ca を含む強固な結晶構造により、電気化学的安定性(電位窓)は卑方向に拡大し、5 V を超える極めて高い電位窓が達成されています。この材料のイオン伝導率をさらに高めることは依然として課題ですが、その優れた電位窓は、高電圧動作や過酷な環境下での安全性が最優先される次世代 FIB において、既存の固体電解質に対する優位性となっています。

また、本研究におけるX線回折測定、走査電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光測定、示差熱・熱重量同時測定は、文部科学省の大学・高専機能強化支援事業による支援(理工学部設置)のもと整備された共同利用機器を使用して行われました。

<論文情報>
論文タイトル: Fluoride-ion conduction and wide electrochemical stability window for Ca10-x(HPO4)x(PO4)6-xF2-x(0≦x≦0.6)
著 者:Kodai Fukuda, Shota Umemoto, Kenichiro Eguchi, Tsuyoshi Takami* (*: 責任著者)
雑誌名: Inorganic Chemistry
DOI: 10.1021/acs.inorgchem.6c03355
公開日:2026年9月17日(米国時間)