【豪亜研・国際】ワークショップ「写真で語る若者たちの世界」を開催
2026年10月27日(火)4限、オーストラリア・アジア研究所と国際学部の共催により、ワークショップ「写真で語る若者たちの世界 From Japan to India: Youth Perspectives and Social Change」を追手門学院大学総持寺キャンパスで開催しました。
講師には、インドを代表する社会ドキュメンタリー写真家のスダーラク・オルヴェ氏を迎え、国際学部生を中心に約130名の学生・教職員が参加しました。オルヴェ氏は、インド・ムンバイを拠点に活動し、30年以上にわたりダリットをはじめとする社会的に周縁化された人々の暮らしを記録してきた写真家です。その活動は高く評価され、2016年にはパドマ・シュリ賞を受賞しています。
本ワークショップは、「Youth(若者)」をテーマに、日本とインドの若者たちの姿を写真を通して見つめ、多様な社会や文化への理解を深めることを目的として開催されました。
第1部では、本学国際学部の2・3年生13名が制作した「Youth」をテーマとする写真作品について、オルヴェ氏から講評をいただきました。学生たちは、友人との時間や家族との思い出、自然や風景、挑戦の経験など、それぞれの視点から「若者らしさ」を表現しました。
全体講評では、風景を題材とした作品が多かったことに触れながら、「人物が写ることで写真に物語や活気が生まれ、見る人の感情を動かす」と指摘されました。また、人物を近い距離から捉えた作品が少ない点について、「こうした傾向は日本の学生のシャイな気質を反映しているのかもしれない。同じ課題をインドの学生に出せば、人物を被写体とした作品がもっと多くなるだろう」とコメントしました。
そのうえで、人を撮る際には被写体との対話や信頼関係が欠かせないことを強調し、「写真を通して何を伝えたいのかを意識してほしい」と学生たちに呼びかけました。
第2部では、オルヴェ氏が自身の撮影した写真を紹介しながら、現代インド社会について語りました。前半では、農村部や部族地域、ダリット(指定カースト)や指定トライブ(部族)など、社会的マイノリティの人々を捉えた作品を通して、教育や雇用の機会が限られた環境や、ジェンダー不平等、貧困といった課題について解説しました。
また、情報が十分に行き届かない地域では、「ストリートプレイ(野外劇)」が社会啓発や情報伝達の重要な手段として活用されていることも紹介されました。
後半では、都市部に暮らす高学歴のZ世代の若者たちに焦点が当てられました。大学教育を受けながらも深刻な就職難に直面する若者が少なくないなか、その現状を社会問題として捉え、デモやSNSでの発信を通じて積極的に政治や社会に関わる姿が紹介されました。オルヴェ氏は、こうした若者たちを社会変革の担い手として捉え、その活動や声に注目する重要性を指摘しました。
講演後の質疑応答では、写真家として大切にしている視点や被写体との向き合い方、現代インド社会の変化について活発な意見交換が行われました。
参加した学生からは、
「写真を通してインド社会の複雑な構造や人々の日常を具体的に学ぶことができた」
「表面的な情報だけでは見えにくい現地の実情を知ることができた」
といった感想が寄せられました。
また、地域によって言語や文化、宗教、生活様式が大きく異なるインドの多様性への理解を深めるとともに、都市部の就職難や農村部の教育格差、ジェンダー課題など、現代インドが抱えるさまざまな社会課題について考える機会となりました。
さらに、社会問題に対して声を上げる若者たちの姿を通して、
「政治に関心を持ち、自らの意見を表明することの大切さを学んだ」
「日本における若者の政治参加について考えるきっかけになった」
との声も聞かれました。
今回のワークショップは、写真という身近な表現媒体を通して、日本とインドの若者たちが置かれた異なる社会的背景や課題について理解を深める貴重な機会となりました。また、多様な価値観や社会のあり方について考え、自らの社会との関わりを見つめ直す有意義な学びの場となりました。
異文化を理解することは容易ではありません。しかし、オルヴェ氏の作品を通してインド社会の多様な現実に触れ、その背景にある文化や人々の思いについて直接話を聞いた経験は、参加者にとって異文化理解への貴重な第一歩となりました。何よりもオルヴェ氏との出会いは、学生・教職員それぞれが自らの価値観や社会との関わり方を見つめ直し、多様な世界への視野を広げる機会にもなったことでしょう。
【開催概要】
・開催日:2026年10月27日(火) 4限 16:00-17:45
・会 場:追手門学院大学 総持寺キャンパス BNC203
・講 師:スダーラク・オルヴェ氏
フォトジャーナリスト
Photography Promotion Trust 創設者兼ディレクター
■本記事に関するお問合せ
追手門学院大学 オーストラリア・アジア研究所
cas@otemon.ac.jp

