大学紹介 Guide学⻑メッセージ⾔伝

2026.05.08

柱の傷と成長

 5月になりました。国立国会図書館のウェブサイトの「和風月名」の「皐月(さつき)」の欄には、「早月(さつき)とも言う。早苗(さなえ)を植える月。」と書かれています。
 「古今和歌集」には、詠み人知らずとして、「昨日こそ早苗とりしかいつの間に稲葉そよぎて秋風の吹く」という歌が収められています。ついこの前、早苗を苗代から取って田植えしたと思ったら、もう稲の葉に風がそよいでいるという、季節の過ぎ行く早さを歌った歌です。これは稲の成長の早さも示しています。実りの先は、かつてこの国の経済の基本単位であった米で、早苗が稲穂になり、収穫されて米となることは、あらゆる成長の軌跡の代表とも言えます。
 さて、5月5日は、五節句の一つ、端午の節句です。この日に因んだ「背くらべ」の歌を知っているか、娘に聞いてみたのですが、内容があまりよくわからないとのことでした。歌い出しは「柱の傷はおととしの」ですが、柱に傷をつけてもよかったの? 「ちまき食べ食べ兄さんが」には、ちまきって、何? 中華粽とは別? と、矢継ぎ早に訊かれました。確かに、祇園祭の粽は食べられません。「やっと羽織の紐の丈」がどれくらいかも分からないとのことでした。皆さんはどうでしょうか。
 端午の節句は、武家の風習が入り、特に男の子の成長を願い、五月人形を飾り、鯉のぼりを上げ、ちまきや柏餅を食べ、菖蒲湯につかり、尚武を祈る日でした。2番の歌詞には山の背くらべが歌われ、日本一の富士山も出てきます。身長の伸びを測っていたのには、あるいは、早く大人になり、1位になることを望む子供たち自身の想いも込められていたのかもしれません。
 ところで、現代の我々は、わざわざ柱に傷を付けなくとも、成長の記録を知る手段をたくさん持っています。本学で言えば、例えばOIDAIアプリの「マイカルテ機能」などです。これは「柱の傷」と「兄さん」の役割を兼ね備えています。
 入学してから現在まで、どれくらい、学力や問題解決力、対人基礎力などを伸ばすことができたのか、例えば授業の成績やGPA、アセスメントテストの結果などを可視化したもので確認し、さらにこれらを伸ばすことの助けにしてほしいと思います。
 皆さんの学びが豊かな実りに向かうよう、ぜひ活用してみてください。