オーストラリア・アジア研究所では、去る2021年6月24日(木)、オンライン会議・通訳システムを活用した国際ウェビナー「アジア・オセアニア地域における企業および社会の変革と再生」を開催し、企業、研究者、大学院生、学部生等、40名以上の参加をいただきました。
今回はシリーズ第1弾として、
- メルボルン大学アジアビジネス経済研究所所長 Helen Hu 教授
- 日中経済貿易センター参与 古屋明様
のお二方を講師としてお招きし、ご講演いただきました。
以下、ウェビナーの報告レポートを掲載します。
【はじめに】
現在、各国・地域の企業や団体はCOVID‐19のダメージから経済・産業活動を回復するため迅速に取り組んでいる一方、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の浸透や地政学の急激な変化などによって、世界の産官学の関係者に更なる複雑で多元化した様々な難題を投げかけられました。
それらの課題を系統的に解決するアプローチを探るため、また、学生や社会に最先端なメソドロジーや高度な洞察力を学習する機会を提供するため、本研究所は長年の研究と国際交流を行ってきたアジア・オセアニア地域を中心に、日本や世界的に権威のある専門家の協力をいただき、“アジア・オセアニア地域における企業および社会の変革と再生”をテーマに、本学経営・経済研究科との共催で、今回の国際ウェビナー・シリーズの開催を企画しました。
本シリーズの第1弾として、日豪の学者と専門家を招き、アジア経済のエンジンとなっている中国を焦点に、ミクロとマクロの観点から中国企業のメカニズムやミックスした経済・産業政策による変化などについて、講演と議論を交わしました。
【講演① Helen Hu教授】
ウェビナーの前半では、メルボルン大学アジアビジネス経済研究所所長のHelen先生より、“Manager or Politician? Effects of CEO Pay on the Performance of State-Controlled Chinese Listed Firms”をテーマとして、中国国有企業(SOE)の経営者のデュアル・キャリア・パス(経営と政治)を焦点に、コーポレートガバナンスの視点から、principal-agent conflicts (PACs)とprincipal-principal conflicts (PPCs)理論や2,000社以上の調査データを用いて、経営者のインセンティブや国営企業の持続的発展に影響を与える諸要因について行われた研究を披露して頂きました。
Helen先生の講演(研究)内容は学術的に高い評価を受けており、国際権威的なジャーナルであるJournal of Management にも掲載されています。
【講演② 古屋 明 氏】
後半では、日中経済貿易センター参与の古屋様から、“中国経済と産業の現状”をテーマに、中国のミックスした経済・産業政策になった背景要因やそれによる変化と新たな課題について、長年のビジネス経験と鋭い洞察力を生かしながら、ご自身の分析結果を講演して頂きました。
また、中国の経済と政治との従属関係について、実務家としての考察と蓄積に基づき、大いに参考となる知見を披露頂きました。
【ディスカッションと今後に向けて】
最後のディスカッション・セッションでは、参加者から、先鋭的かつ切実なご意見・コメントが多く寄せられ、非常に建設的な議論を展開することができました。また、開催後のアンケート調査を通して、本学の学生と教職員のみならず、今回参加された他大学の先生や大手新聞社・貿易機関などの担当者から好意的な反響が多く寄せられ、今後の活動推進の糧とすることができました。
今回は日豪の専門家を迎えることで、オンライン同時通訳機能を備え、参加者の皆さんと講演者との距離感を最小限に抑え、出席者全員が気軽に議論を交わす体制づくりにも試みました。
今後、この企画をシリーズとして、継続的に開催する予定ですので、もっと多くの方が関心を持って積極的に参加して頂けるように取り組んでいきたいと考えています。
【本件に関するお問合せ】
追手門学院大学 オーストラリア・アジア研究所
T E L:072-641-9667
email:cas@otemon.ac.jp
Center for Australian and Asian Studies,
Otemon Gakuin University
2-1-15 Nishiai Ibaraki-city, Osaka 567-8502, Japan