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異文化交流・インドをテーマにセミナーを開催(オーストラリア・アジア研究所/国際学部・国際教養学部)
掲載日時:2022年11月7日



2022年10月25日(火)3限にオーストラリア・アジア研究所、国際学部、国際教養学部の共催により異文化交流をテーマとしたセミナー「旅する写真家が見たインドの素顔」を追手門学院大学 総持寺キャンパスにて開催し、国際ゼミ学生を中心に一般・教職員など約80名の参加がありました。


講師には、アジアの辺境をバイクで旅しながら「笑顔」と「働く人」をテーマに写真を撮り続けておられる、写真家の三井昌志さんをお迎えし、これまで撮影されたインドの写真とともに現地の様子や文化、感じられたことなどをご紹介いただきました。


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【はじめに】

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 「異文化共存」がごく当然となりつつある現代社会において、私たちは自分が知っている世界と、異なる世界、異なる文化に触れたとき、それぞれのやり方で折り合いをつけ、そして違いを受け入れていくことが期待されます。

 その際に重要となるのは、自身の価値観を絶対としない柔軟な姿勢であり、そして対等な目線を持ち続けることではないでしょうか。

 今回、「旅する写真家がみたインドの素顔」と題し、インドをはじめとするアジア各国で人々の飾らない日常を絶妙な距離感で撮り続けている写真家三井昌志さんをお招きし、異文化と交流するということについてお話しいただきました。


(写真:進行担当は研究所員・小松准教授[国際学部] )



【写真家三井昌志さん】


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 アジアの辺境を旅しながら、「笑顔」と「働く人」をテーマに写真を撮り続けている三井さん。インドはもうバイクで8周もされたとのこと。最近は農村や漁村、町工場などで働く人々の、生命力にあふれた姿を多く作品とされています。

インド北部の農村で畑を耕す男性、工場で鉄を打つ男性、南部の魚市場で魚を売る女性、美しい民族衣装をまとって力仕事にいそしむ部族の女性など、北から南まで、インド中の働く人々のたくましい姿、そして白い歯が美しい笑顔を大量の写真ならびに現地情報と共に紹介していただきました。


(写真:インドの写真を紹介される三井さん)



「文化とは不合理なもの」これは撮影を通して三井さんが実感したことだといいます。カラフルな民族衣装や二の腕をきっちりと覆う沢山の装身具は、農作業や工事現場での肉体労働には適さず、機能性、効率性とは相いれない。けれどインドの人々、特に女性たちはそれを誇らしげにまとう。これこそが固有文化であり、伝統文化であり、美意識なのだ。グローバル化、つまり均一性が進んでいく社会がある一方で、伝統文化を維持する社会がある。今後、このような伝統文化がこれまで以上に大きな価値をもつようになるのではないか。そこにしかない色を求めて、自分は旅を、そして撮影を続けるのだ、と語って頂きました。

会場の、特に若い学生たちに向けて、三井さんは異文化交流としての一人旅を勧めます。肩書や実績が通用せず、無力な人間として異国の地に立つことは、等身大の一人の人間としての力量を試されること。「セレンディピティ」(=偶然がもたらす幸運をつかみ取ること、その力)には個人差があり、この能力の鍵は予期せぬ出会いを面白がれるかどうかにあるのだそうです。


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  ▲写真に見入る学生、参加者のみなさん   ▲瞬時にポーズを決めるインドの男性


【ディスカッションと今後に向けて】

 

最後の質疑応答のセッションでは、複数名の学生から積極的な質問が寄せられました。またセミナーが終了した後も会場に残り、三井さんに熱心に質問をする学生たちの姿が印象的でした。三井さんはすでに次の撮影のため、パキスタンに出発されています。この先数カ月間に渡って、パキスタンやバングラデシュで撮影をされるとのこと。異文化に向き合う三井さんの軽やかで柔軟な姿勢は、学生たちだけでなく教職員や一般の参加者にも強い印象を残したことと思われます。

閉式の辞として松宮国際学部長は、三井さんのこのセミナーに参加することができたこと、それこそが「セレンディピティ」だと述べられました。今後も異文化交流、異文化理解の手掛かりとなるような、参加者の「セレンディピティ」となるような企画を、継続的に続けていきたいと考えています。


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  ▲学生からの質問             ▲松宮教授(国際学部長)による閉会の挨拶




 

 

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。





【本件に関するお問合せ】

 オーストラリア・アジア研究所 事務局まで
 cas@otemon.ac.jp


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