追大国際学部での留学生の活躍 自主研究
HINDUPUR SRINIVAS GAUTAM 国際学部 国際学科 2年

自主研究(ヒンディー語):ルーツに戻る

はじめに  


  新しい言語を学ぶことは、紛れもなく自分の世界を広げ、新たな視点をもたらしてくれる。新しい言語を学ぶことに労力を費やす一方で、内省してみると、母国語は私たちの心に特別な位置を占めるだけでなく、母国文化に対する尊敬の念を育むのに役立っていることに気がつく。このコースでは、ヒンディー語の基礎とインド文化の様々な側面を学んでいる。豊かな歴史と多様性を持つインドで話者人口が最も多いヒンディー語を学ぶことは、新たな絆を築き、文化的側面への理解を深めることにつながると思う。


授業の流れ


 私はインド出身であるが、ヒンディー語を第一言語としない地域で育った。そのため小中学校でヒンディー語を学んだにもかかわらず、常に英語と混ざり合い、俗語を使うため、文法的に正しいヒンディー語でコミュニケーションをとることができなかった。 そのため、この自主研究でヒンディー語を学び直すことにしたのである。  
 授業は文字の練習から始まった。ヒンディー文字(デーヴァナーガリー文字)の習得は難しいが、小松先生と1年を通して復習を続けることで、しっかりと読めるようになった。また、文法やフレーズも学んだ。文法的に正しいフレーズを学ぶのは、常に大変なことだ。しかし、毎週の復習を通して必要な知識を身につけることができた。授業は主に気軽な雰囲気の中で行われ、緊張をほぐし、語学学習が楽しく夢中になる旅になるように工夫されていた。コースにはヒンディー語だけでなく、インド人が使うボディランゲージも含まれていた。これらは文化の違いを示すのに役立った。全体的な学習環境は、学習過程を通して言語の美しさを楽しみ、インド文化に対する感謝の気持ちを抱くことができるように配慮されている。ヒンディー語は習得が最も難しい言語のひとつと言われている。しかし、リラックスした環境でヒンディー語を学ぶことで、私たちはヒンディー語話者とつながるために必要な基礎をつかむことができた。


自主研究を履修した感想


 前年に一度、この授業に飛び入り参加したことがあり、その時からヒンディー語の基礎を復習したいと思っていた。母国の学校でヒンディー語を習っていた時は、良い成績を取らなければならないというプレッシャーから、ヒンディー語を楽しむことができなかった。しかし、小松先生のもとでヒンディー語を復習すると、日本語との文法的な共通点がいくつも見えるようになった。そのおかげで、ヒンディー語を学ぶことにさらに興味を持つようになった。落ち着いた環境で仲間と一緒に学ぶことは、ヒンディー語の上達に大きく役立つ。また日本人の視点からヒンディー語を学び直すことで、好奇心が増し、基礎が強化された。自分のルーツをよりよく理解することができ、言語学習のプロセスについての手がかりを得ることができた。教室の中で言葉を学ぶだけでなく、私たちはインド料理店でインドの食文化を体験することができた。母国の味を仲間と分かち合うことは、魅惑的な経験であった。異文化を学ぶだけでなく、自国の文化を理解するために、時には異なる視点から文化を見ることも必要だ。
 このような食文化の体験や授業を通して、受 講生の一人でもある友人のヨウヘイが、実際にインドを訪れることに大きな興味を示してくれた。そのことはインドと日本の懸け橋となって自分の国の文化を伝えたい、という私の気持ちをさらに高めてくれた。この春休みに、私はヨウヘイを母国の家族や友人たちに紹介する。そしてインドに存在する広大な美しさと、豊かな文化を目の当たりにしてもらいたいと思っている。


おわりに  


  どの言語や文化にも、それを特徴づけるものがある。この授業は、文化の類似点 と相違点、そして言語と文化をそれぞれの方法で美しくするものを見つけるのに役立つ。グローバルな視野を持つために他の言語や文化を学ぶことは必要だが、同時に感謝の気持 ちを持つために自国の文化を学ぶことも重要である。この授業のおかげで、グローカリズムの視点を得ることができ、異なるレンズを通して文化を理解することができた。これは、インドと日本の架け橋になることを目指す私の旅に役立っている。  
 また、私にとってこのヒンディー語自主研究は、閉ざされた環境からでも様々な視点や文化に触れることができると知るきっかけであり、また自分の心を開く大きな窓となるものであった。学期が終わりに近づくにつれ、私は、継続性を確保し、言語間に存在する類似性をさらに分析するために、もう一年この自主研究を履修して、語学力をさらに強化したいと思うようになった。この一年、ヒンディー語を学ぶ中で経験した授業スタイルは、私が通 っていた中学校での授業とは全く異なるものであり、ヒンディー語を学ぶことが楽しくな り、あきらめない気持ちを奮い立たせてくれた。ヒンディー語学習を通して、自分の文化を理解し、ルーツを再確認する手助けをしてくれた小松先生に心から感謝している。