アメリカ Google, Apple, スタンフォード大学 他
萌衣 国際学部 国際学科 2年

2024国際ビジネスCP シリコンバレー・スタディツアー

Googleの本社にて 私とAndroidちゃん
Golden Gate Bridge
最終日の空 宿泊したホテルの近くで撮影

はじめに  


 私はこの大学2年次に国際ビジネスコンセントレーションパッケージに参加した。

 

 春学期から秋学期の1年間に渡るプログラムで、夏休みに行く海外体験のスタディーツアーと自主研究が含まれている。春学期及び夏休みに入ってツアー参加する直前まで、いくつかのレポートやプレゼンテーションを完成させ、夏休みにアメリカのシリコンバレーで1週間のスタディーツアーに参加し、スタディーツアー参加後もプレゼンをし成果発表を行った。シリコンバレーは、カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアの南部に位置するApple、Google、NVIDIAをはじめとする先端企業の一大拠点として有名で、その企業の成り立ちに触れることのできる、とても充実したプログラムだった。本プログラムは私を含めて42人の生徒が参加し、関西と関東のいくつかの大学からの生徒が1週間を共に過ごした。追手門学院大学からの参加者は私一人だった。42名の生徒が1チーム6人で7チームに分けられ、チーム活動を行なった。本稿ではシリコンバレー・スタディツアーに参加し、感じたことや学んだについて説明する。


スタディーツアー  


 スタディーツアーは9/1〜9/7の1週間に渡って開催された。今回は様々なレクチャーを受け、AppleやGoogleの本社のビジターセンターやコンピューター歴史博物館を訪れ、憧れのスタンフォード大学のキャンパス内を巡ることもできた。Rakuten USA社に企業訪問し、実際の働く現場を見学し、サンフランシスコ市内ではフィールドリサーチし、豊富なプログラムが組まれたスタディーツアーだった。そのいくつかのレクチャーで、シリコンバレーで実際に働いている講師の方々から学んだ日本と世界の違いを紹介したい。


Hello Sake社CEO / DoorDashソフトウェアエンジニアの原健太氏が見る日本とアメリカの違いはこうだ。


日本 アメリカ
年功序列・終身雇用・解雇規制

人材の流動性が高い

合議制・責務が不明確

意思決定などのスピードが速い

単一民族

多様な人材、視点



D-Compass社の玉巻氏と石川氏が考える日本と世界の違いは以下の通りだ。


日本 世界
行動原理

義務感

他人の同調圧力

使命感

個人の原動力

行動姿勢

リスクと変化を恐れる

全然挑戦しない

リスクと変化に恐れず

どんどん挑戦する

主体性

受け身で指示待ち

周りに流される

能動的でリーダー的

周りを巻き込む

思考方法

How(手段)に終始して

Why(目的)が無い・曖昧

Whyに向かって

HowはTrial&Error

共感・思いやり 自己主張


 これらの違いを聞いた上で、私のチームClocksは最終日に行われる学習成果を発表するファイナルプレゼンではこのようにまとめた。また、現地で参加したMeetup活動が、探求の発想のきっかけとなった。Meetupとは、同じ趣味または目的を持った人々が集まり交流会のことを指す。


 私のチームは毎週水曜日の18時に開催されている、Walk & TalkというMeetupに参加した。それは、参加者が地域のグランドに集まって運動しながら交流をするイベントだった。その時グランドには大勢の社会人の方が運動し汗を流していて、その時間にはもう退社し自分の自由な時間を楽しんでいることがわかった。そこで日本で働いている人も気持ちと時間の余裕を持てるように、働く時間を調整できたらいいなと思った。  


 日本は少子高齢化が著しく進み、若き働き手が減る現状が返ってAIの導入に有利だと思う。早期で積極的な受け入れが検証に十分な時間を設け、トライアンドエラーができる。人にはもっと創造性を発揮できる仕事に就かせ、レジなどの単純作業をAIに任せるのが問題解決の鍵であることが結論になった。だが、これはインド、中国などの人口が盛んな国には通用しない、日本であるからこそ取り入れられることだと考えた。人々もより効率よく働くことができ、自由に使える時間を設けることができる。そうすれば自分の気持ち、趣味、健康に配る心の余裕ができるに違いない。  


 日本はこれまで多くの人が持っていた「work is life」の考えを変えて、仕事は単なるお金を稼ぐツールの一つであると考える。そして意思決定を素早くして、長くなりがちな会議の時間を省くことが必要だ。このシリコンバレーで気づいたことを受けて、日本の働き方はより気持ちと時間の余裕を持てるようになるべきであることを発信していきたい。


今の私の見解  


 そしてスタディーツアーが終わって、この1カ月で私なりにツアーを振り返ったり、家族と話したりし、改めて考えを整理した。今回日本とアメリカの働き方の違いなどについての話を伺ったが、それはあくまでもシリコンバレーの良きあり方で、アメリカ全ての代表的なあり方ではない。今回のプログラムの主催団体であるB-Bridge社のHiroさんによると、アメリカの企業でも実際は上下関係が厳しいことがある。私のチームのファイナルプレゼンの調べの段階で、日本及び世界の残業時間を調べたところ、アメリカの方が残業時間は長いという事実を知った。そのため、アメリカが良く日本は良くないと一概に言うことはできないと思った。シリコンバレーが所在するベイエリアはアメリカの中でも極めて優秀なIT人材が集まっている地域で、企業が秀才を獲得し、人材を確保し続けるために待遇が抜群で、居心地が良い環境にせざるを得ないことが背景にあると考えられる。  


 今回この1週間という短い期間で私たちが見て感じて、アメリカに対して持ったイメージは、この国の華やかなほんの一面に過ぎない。日本とアメリカの違いと言ったところで、私たち学生として日本の社会の現状を理解できているとはなかなか言えない。そこで聞いたことを鵜呑みにするのはよくない。こう言った違いの背景には文化的背景も根強く存在する。世界各国どこにいても、仕事をするにつれて、大事なのは「郷に入れば郷に従え」だ。それぞれの国はその長い歴史を歩んできて慣習は当たり前に存在する。日本も今まで様々な文化背景の中で終身雇用、厳しい上下関係、顧客との付き合いなどと言ったものが定着した。これからは変わっていくかもしれないが、今は働く国のやり方を尊重し従うのが正しいのではないか。アメリカのやり方が全て日本や他の国に合うとは限らない、例えば私たちがチーム発表の最初に取り上げたMeetupについて、アメリカで感じたことはシリコンバレーで働く人は仕事が終わればすぐに自分のやりたいことに取り込んでいることである。日本では、上司が帰るまで残業する、仕事帰りに顧客や同僚とお酒の飲む、いわゆる「付き合い」という習慣が、まだまだ残っているようだ。「そういう努力をしないと出世できないのではないか」や「同調圧力を感じている」などの実情があると私は思う。その反面、大部分の欧米の人は他人の目を気にしていないようだ。  


 論語の中で、「三人行えば、必ず我が師有り」とあるのを知っている方は多いと思うが、その後に続く言葉がある。「子曰わく、三人行えば必ず我が師有り。其の善なる者を擇びて之れに従い、其の不善なる者は之れを改む。」三人で行を共にするとき、必ず自分にとって師とすべき者がいる。善を行う者には従い、不善を行う者がいれば自分を省みればよい。日本も欠けているところがあると同時に、独自の良さを持っている。グローバル化が進んで、求められている中で重要なのは自分を他者と全く同じ型にはめるのではなく、自分の良さを保ちつつ、相手の良さを吸収し、改善すべき点を直すことだと思う。  


 日経平均株価の最高値更新、アメリカのFRBによる利下げ、日銀の利上げにより金利差の縮小、33年ぶりの高水準となった春闘の賃上げ率、訪日外国人客がもたらす経済効果など、今年の色々な情報から日本の経済は回復していっていると期待を感じさせる。一個人としても同じで、経済や精神的な余裕を持てて初めて、色々なことを考えられる、楽しいこと、ポジティブなこと。国内の経済が良くなって、労働環境、生活環境、生活水準も自然的に良くなっていくと私は思う。しかし、昨今の緊迫する国際情勢の中、前向きに考えつつ危機感を保つことも必要だ。日本のみではなく、世界中の国々、そして私たち一人一人、常により良き姿を目指し、長い道のりを歩んで歴史を書いていこう。真の世界平和が実現し、人間が地球にやさしい地球の住民になり、幸せの満ちた世界を心から願う。


振り返り  


 私は昨年の夏、国際学部グローバルスタディーズ専攻のカリキュラムの一環である、一年次の夏に参加する短期留学でカリフォルニア州に行った。昨年行けずに残念に思っていたスタンフォード大学やGolden Gate Bridgeにも行くことができ、「San Franciscoに行った!」って感じだった。Waymoという無人タクシーがかなりの台数道路で走っていたのは驚いた。実際に乗った他のチームの学生や先生もいたが、私は無人の自動運転に対して少し不信感を抱いている。交通が不便なので、自分たちでUberアプリを使ってタクシーを呼ぶことが多く、そのうちの大部分は私が呼ぶ担当をして、他人任せではなく私が積極的に行動できてよかったと思う。私が今までに住んでいた中国でもライドシェアは盛んなので、私は何も抵抗感や違和感を覚えなかった。とても頼られて、良い鍛錬になったと思う。本当のところ私は責任を取ることや頼られることは怖くて、嫌いだ。だが、今までやむを得ず私が頼られることが多く、能力的に私は信頼されているから喜べば良いのか複雑な気持ちだ。今はやりこなせているから良いかもしれないが、できなくなったらどうしようって深く心配する。同じチームの須崎さん(私が初めて事前研修のzoomで会ったときからすごいなと感心し続けた人)から「チームの柱」だと言われたことは本当に嬉しかった。  


 今回は積極的に自分の意見を言うことや、調べること、手を挙げて質問すること、英語を話すことができて頑張ったと自分で思う。そして何より、このプログラムに一緒に参加した41人の仲間と出会い、繋がったことを心から良かったと思う、この繋がりをこれからも大切にしていきたい。


おわりに  


 20歳という年齢で、普通ではなかなか行くことのできないAppleやGoogleの本社を実際に見て、様々なレクチャーを通して講師の方々が自分の経験、人生の知恵を教えてくださり、極めて稀な経験だと思う。学校がこのような有意義なプログラムを提供してくれ、参加できたことをとても良かったと思っている。貴重な機会を自分で掴めて私の人生にとって足跡の深い一歩になったと感じている。そして、サポートをしてくださった先生方、国際連携企画課の方々、JTBの担当の方、プログラムを企画してくださった企業の方々、レクチャーをしてくださった講師の方々、家族、みなさんに心から感謝している。  


 これからも常に自分のアンテナを張り続け、色々なチャンスに巡り合い、挑戦していき、より良い自分を築いていきたい。