大阪・関西万博での「AIスーツケース」 業務を通じて学んだこと
はじめに
私たちは大阪・関西万博の会場のロボット&モビリティーステーションで、「AIスーツケース」の運用サポートスタッフとしての業務を経験しました。「AIスーツケース」は日本科学未来館と日本IBM、さらには、株式会社アルプスアルパインや株式会社オムロンなどの企業がコンソーシアムという形で共同して制作しているロボットです。
スーツケース型のロボットで、センサーやカメラが付いているため、人や障害物を自動で避けながら使用者の行きたい場所まで連れて行ってくれます。また、AIが搭載されており、音声対話を使って目的地を設定することもできます。音声案内や触覚フィードバックを通じて、利用者がより自由に移動できるようサポートします。
「AIスーツケース」サポートスタッフとしての業務内容
私が担当した主な仕事内容は、来場者への説明とデモンストレーションの補助、利用希望者の誘導、そして外国からの来場者への英語での案内などです。AIスーツケースの仕組みをわかりやすく伝えるために、相手に合わせた言葉選びを心がけました。また、視覚障害のある方に実際に利用していただく際には、安全面に細心の注意を払いながら、安心して体験してもらえるよう声かけや動線の確保を意識しました。最初は緊張の連続でしたが、利用者の方が「これなら一人でも歩ける気がする」と笑顔を見せてくださった瞬間には、大きなやりがいを感じました。
また、外国からの来場者に対応する場面も多くありました。英語で機能や使用方法を説明する際には、国際学部の授業で学んだ実践的な英語表現が大いに役立ちました。とくに、「多文化理解」や「異文化コミュニケーション」に関する学びが、現場での対応に大いに役立ちました。
インクルーシブでサステナブルな世界を
AIスーツケースの業務を通して、私はただテクノロジーをサポートするだけでなく、「人とテクノロジーがどう共に生きていけるのか」について考えるきっかけを得ました。ロボットが人の生活を支えるためには、機能だけでなく、使う人の気持ちや背景を理解することも大切だと感じました。これは、国際学部で学んでいる「異文化を理解し、尊重する姿勢」にもつながると思います。国や文化、障がいの有無に関わらず、誰もが自分らしく暮らせる社会の実現に、AIの力がますます必要になると感じました。
また、万博での「AIスーツケース」実証実験を通じ、点字ブロックや同伴者がなくても移動できる技術が、視覚障害者にとって「恐怖から楽しさへ」と価値を変える瞬間を目の当たりにしました。これは、私が国際関係学で追求する公平性、平等、壁のない世界の実現に直結します。社会の構造的なバリアを超え、技術によって誰もが同じ機会、同じ「行動、言動の自由」を享受できる社会を創造すること。これが、インクルーシブでサステナブルな世界を形成する重要な要素になると学びました。
おわりに
教室で学んだ知識が、現実社会の中でどのように活かせるのかを肌で感じたことは、私にとって大きな経験でした。今後は、万博という特別な場で得た経験を忘れずに、これからも世界とつながる学びを続けていきたいです。






