崔 宇准教授のメルボルン大学訪問
2020年2月、本学経営学部の崔 宇准教授兼オーストラリア・アジア研究所副所長がオーストラリアのメルボルン大学を訪問して学術交流や共同研究を行い、大きな成果を上げた。
間もなく創立170周年を迎える世界の名門・メルボルン大学は、建学以来、総合的かつ広域的な教学理念を貫き、学部生が26,000人ほど、大学院生が25,000人を超え、教員数も4,600人以上の高度研究型大学として、オーストラリアのみならず、国際的に影響力を発揮している。2000年代から“GROWING ESTEEM”という新たなスローガンを掲げて大学改革を推し進め、アジア・オセアニア地域において、最もイノベーションに成功している大学として知られている。
今回、客員教授として招かれたのはメルボルン大学の経営・マーケティング研究科で、専用の研究室や大学のメールアドレスを提供されるなど充実した研究環境が整えられ、世界的権威の学者に囲まれて存分に学術交流や研究活動に打ち込めた。
崔准教授の専門領域はサプライチェーン・マネジメント、経営情報システムとイノベーション・マネジメントで、とりわけ、最近の新型コロナウイルスの蔓延やアフリカからの巨大バッタ群襲来などの自然災害をはじめ、原油の価格戦争や国家間の貿易摩擦など突発的事件によるグローバル・サプライチェーンの寸断が頻繫に発生することに対して、如何にリスク管理を完備させ、サプライチェーン・レジリエンス(回復力)の増強を実現するかについて、長年研究している。
今回、メルボルン大学の研究者たちと一緒に、サプライチェーン・レジリエンス向上の対策に加え、システム・アーキテクチャーの視点からサプライチェーン・システムを捉え直し、自律分散型システムの導入と融合によって、サプライチェーン・レジリエンスの向上および持続的な発展を図る効果を如何に反映させるかについて共同研究し、その解決策を探る共同論文執筆にも着手した。
また、メルボルン大学で開催されたセミナーに招かれて講演し、“Improving Supply Chain Resilience with Implementation of New System Architecture”をテーマに、サプライチェーン・レジリエンス向上の重要性を訴え、サプライチェーン・システムの再構築による提案を披露した。講演は大きな反響を呼び、経営・マーケティング研究科の研究者たちと昼食をとりながら、長時間情報交換と熱い議論を交わした。
訪問中に、経営・マーケティング研究科長のPrakash J. Singh教授と会談し、双方の研究・教育方針や今後の方向性などについて情報交換を行った。その結果、今後の共同研究について、長期的な協力関係を築くことで認識が一致した。
また、アジア ・ ビジネス &エコノミー 研究所(CABE)のHelen Hu所長とも意見交換し、今後、本学アジア・オーストラリア研究との間で、共同研究と学術交流を積極的に進めていくことで共通認識が得られた。CABE は毎年、アジア地域を中心に、名門大学や各国の中央銀行、世界のリーディング企業から多くの優秀な研究者や実務家を招いて共同研究を行うなど、ハイレベルの研究活動を推し進めている。
本学のアジア・オーストラリア研究所は1967年にオーストラリア究所として設立されて以来、50年以上にわたってオーストラリア・アジア研究に取り組み、多くの実績を積み上げてきた。今後、メルボルン大学のような世界トップクラスの大学と緊密に学術交流を行い、特定の専門分野にとどまらず、社会科学全体に貢献できる共同研究の成果を上げ続けていくことは、所員一同の目標でもある。