オーストラリア・アジア研究所では、去る2021年9月10日(金)、日本情報経営学会関西支部会との共催で研究会「DX視点による教育促進と産業革新の考察」を開催し、学会員を中心とした研究者20名以上のご参加をいただきました。
今回は、
- 追手門学院大学名誉教授 篠原 健 先生
- 追手門学院大学 オーストラリア・アジア研究所所長/経営学部准教授 崔 宇 先生
のお二方を講師に迎え、ご講演いただきました。
以下、ウェビナーの報告レポートを掲載します。
【はじめに】
今日、COVID-19パンデミックの蔓延に伴って、社会全体がニューノーマル時代を迎える中、企業のデジタル経営の推進が加速され、教育のDX(デジタル・トランスフォーメーション)変革も急務な課題として注目され、迅速に取り組まれています。一方、企業経営において、既存のビジネスプロセスのまま、デジタル技術をむやみに取り入れるには根本的な効果が現れず、いかに進化したICTを活用して、経営システム全般のパラダイムシフトを実現するかは肝要である。また、教育のDX変革において、遠隔授業の遂行や教材・提出物の電子化の徹底など、主にハードウェアの部分を単にアナログからデジタルに移行するだけでは限界が来ており、LMS(学習管理システム)の設計から受講者の履修後のフォローまで、教育プロセスに対するシステマティックなデジタル革新が求められています。
今回、“DX視点による教育促進と産業革新の考察”と題し、デジタル経営の分野では権威的存在である日本情報経営学会の関西支部会と連携し、オンライン共同研究会を開催しました。また、デジタル教育の専門家とデジタル・サプライチェーンの研究者を交えて、DXの視点から日豪における教育促進と産業革新の現状について、講演と議論を行いました。
【講演① 篠原 健 名誉教授】
研究会の前半では、追手門学院大学名誉教授の篠原健先生より“eラーニングによる非対面授業の推進―英語学習の事例を中心に”をテーマとして、長年、大学におけるデジタル教育の実践を紹介しながら、様々なデジタル教育システムの導入事例について、将来の教育のDX推進に合わせて分析して頂きました。とりわけ、追大のMANABO学習向上支援システムの開発やオーストラリアの教育機関とのコラボレーションの一環として、導入したERPシステムの応用事例などを挙げながら、学習プロセスの見える化を実現する取組の実態について、説明して頂きました。
【講演② 崔 宇 教授】
研究会の後半では、追手門学院大学オーストラリア・アジア研究所所長の崔宇准教授から、“DXの視点によるサプライチェーン・レジリエンスの再考―オーストラリアの事例を中心に”をテーマに、今日、国際情勢の激変や突発的事件の頻発により、グローバル・サプライチェーンの寸断に至る要因をシステマティックに分析し、近年、ますます重要視されているサプライチェーン・レジリエンスの概念とその実現に向けてのアプローチについて説明して頂きました。講演の後半では、オーストラリアの事例を中心に、DXの視点から、最先端なデジタル技術であるブロックチェーン・システムの仕組みとその応用について解説して頂きました。
崔所長の講演(研究)内容はデジタル経営の分野において評価されており、産業界や学術界で高評のジャーナルであるNextcomの第43号に掲載されています。
【ディスカッションと今後に向けて】
最後の質疑応答のセッションでは、日本各地の大学の先生方から質問やコメントが寄せられ、今後の教育界や産業界におけるDX推進の具体策について、熱い議論を交わされました。
今後、DX推進のトピックスを継続的に取り上げ、研究会の開催や色々な出版物を通じて、その研究・交流の成果を発信していきたいと考えています。
【本件に関するお問合せ】
追手門学院大学 オーストラリア・アジア研究所
T E L:072-641-9667
email:cas@otemon.ac.jp
Center for Australian and Asian Studies,
Otemon Gakuin University
2-1-15 Nishiai Ibaraki-city, Osaka 567-8502, Japan