2025年10月24日(金)、上方文化笑学センターは「クリニクラウンに関する勉強会&ワークショップ」を開催しました。
クリニクラウンとは、入院生活をおくるこどもの病棟を定期的に訪問し、遊びとユーモアを届け、こどもたちの笑顔を育む道化師のことです。
当日は、認定NPO法人日本クリニクラウン協会 事務局長の熊谷恵利子氏を講師にお迎えし、日頃の活動についてお話しいただきました。
また後半には、実際の活動を模したワークショップを通して、その役割や技術について理解を深めました。参加者は体を動かしながら体験し、会場は笑いに包まれました。
まずはクリニクラウン活動についての報告です。
熊谷氏は、スポンジでできた「赤い鼻」を付けて登壇されました。会場の空気が一瞬で和らぐ中、こどもたちに語りかけるような柔らかい口調で講演が始まりました。
「クリニクラウン(CliniClown)」とは、Clinic(病院)とClown(道化師)を合わせた造語で、「臨床道化師」とも訳されます。日本での歴史は2004年、オランダ総領事館の文化プログラムとしてクリニクラウンオランダ財団(CCNL)の活動が紹介されたことに遡ります。
その理念に共感した医師、看護師、家族会、そして道化師の有志がCCNLと提携し、2005年に日本クリニクラウン協会(JCCA)を設立しました。
JCCAは「すべてのこどもにこども時間を」を合言葉に活動しています。
2019年度には、訪問先は48病院、訪問回数は288回、出会ったこどもの数はのべ9,588名に上りました(ただし新型コロナウィルスの感染拡大の影響を考え、2月末から訪問を中止)。
入院中のこどもたちは、治療のために痛みや苦しみを我慢し、不安な生活の中で「こどもらしく過ごす」ことが難しい状況にあります。クリニクラウンは、そんな病棟を定期的に訪問し、遊びや関わりを通じて本来の生きる力を取り戻す手助けをしています。
単なる慰問ではなく、医療チームの一員として療養環境の向上を目指しているのが特徴です。
講演では、コロナ禍での活動についても触れられました。
感染拡大により、入院中のこどもたちはこれまで以上に行動制限を受け、ストレスフルな状況に置かれました。そんな時こそ「こども時間を届ける」ことが必要だと考え、JCCAは2020年3月に「クリニクラウンWeb事業」を立ち上げました。
YouTube『クリニクラウンチャンネル』での動画配信やインスタライブ、クリニクラウンWeb訪問(バーチャル訪問)など、「今、私たちができること」を模索し続けた実践報告に、参加者は熱心に耳を傾けていました。
【ワークショップの様子】
【参加者間の距離が縮まっていきます】
後半はワークショップの時間です。
参加者全員で輪になり、ハイタッチをしたり、シンプルなリズムゲームを行ったりと、体を動かす様々なワークを体験しました。
最初は少々緊張気味だった参加者も、間違えたり失敗したりすることを互いに笑い合い、許容し合うことで、会場の空気はまたたく間に温かいものへと変わっていきました。
言葉に頼らないコミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)がいかに心の距離を縮めるか、身をもって実感するプログラムとなりました。
会場のあちこちから笑い声が溢れ、講演での「理論」とワークショップでの「実践」を通じ、クリニクラウンの奥深さに触れた、あっという間の一時間半でした。
クリニクラウンについてもっと知りたい!というかたはこちら。
↓
日本クリニクラウン協会HP
上方文化笑学センターでは、今後も「笑い」や「ユーモア」が持つ可能性を探求し、
皆様と共に考える機会を企画してまいります。ご期待下さい。
─────────────────────────
【本件に関するお問合せ】
上方文化笑学センター
showgaku@otemon.ac.jp
072-665-9217(研究所・センター窓口)








