2020(令和2)年度当初予算概要について

2020(令和2)年度 当初予算について

1.2020年度の主要な事業計画

  • 安威キャンパス再整備(安威キャンパス東側土地の売却と、それに伴う既設グラウンドや駐車場の撤去工事)
  • 安威キャンパスBYOD対応に伴うシステム整備

2.予算編成の方針

 18歳人口が大幅に減少する中、大学の私学助成においても厳格化が進められ収容定員に対して一定数以上の学生を確保すると補助金が不交付になるなど、収入の確保は極めて厳しい状況下にあります。全国で600ある私立大学では、39%が定員未充足、41%が赤字経営となり、時代のニーズ、地域のニーズ、産業界のニーズに合った教育機関へと変革するためには教育改革を進める必要があります。具体的には「大学教育の質の向上」、「学生が身につけた能力・付加価値の見える化」が問われ、学校経営においても「経営力の強化」、「大学の連携・統合」の検討が進められています。中でも国立大学の再編・ 統合を巡る動きが活発化し、私立大学において学部の譲渡をしやすくするための関連法令が改正されるなど、厳しい経営状況の私立大学に再編・統合(M&A)の動きが加速する状況が整いつつあります。

 本学院では2018-2019年に一大事業である大学新キャンパス・茨木中・高新校舎・小学校東館建設が無事に竣工を迎えました。整備したインフラ環境のもと、教育改革がスタートします。2020年度予算では、新しい取り組みである小・中・高・大BYODを中心とするICT環境整備、中・高旧校舎解体を含めた安威キャンパス再整備、2キャンパス体制の運営にかかるランニングコストなど、今まで以上に経費がかかることが想定されます。

 前述したとおり非常に厳しい財政状況のもと、限られた資金を有効に活用するため、全ての部門で今一度予算編成にあたって業務を見直し、本当に必要な事業であるか徹底的に精査します。

 改めて言及するまでもなく、本学の収入は園児・児童・生徒・学生の保護者から頂く授業料(保育料)が事業収入の70%を占めており、次に収入規模が大きい補助金と合わせると事業収入の85%強となります。学校法人における予算の位置付けは企業とは異なり収入の大部分を占める学納金や補助金は固定的性質を持つため、限られた収入源で如何に支出を賄うかが重要とされます。このことを念頭において、常にその経費は授業料(保育料)または補助金をもって支払うことに値するのかを意識します。

 なお、一方で今後の競争を勝ち抜くためには教育・研究体制の更なる充実を図る必要があります。2020年度以降の予算では現行のCAP額とは別に予算枠を設置し、重点強化すべき新規事業については資金投下が可能になる予算制度を検討しています。強固な財政基盤を確立しつつ、新たな事業への投資整備を行う予定です。

予算編成にあたり重視する事項

【ゼロベースを意識した予算】
【費用対効果を十分に意識した事業計画】
【選択的・集中的な資金投下】
【補助金(外部資金)の計画的・積極的な確保】
【スクラップ&ビルドの徹底】

3.収支予算の要旨

(1) 事業活動収支予算

 教育活動収入計は、133億2,981万円となり、対前年で8,961万円の減(対前年0.7%減)となる見込みである。

 教育活動収入計を構成する主な科目は、学生生徒等納付金と経常費等補助金であり、この2科目で教育活動収入全体の約93%を占めている。

 学生生徒等納付金は、学生・生徒・児童・園児数の増と、幼児教育・保育の無償化に伴い、基本保育料の無償化部分を経常費等補助金に移管したことによる減の差し引きで、対前年1億4,220万円増(対前年1.4%増)の101億7,665万円となった。経常費等補助金は、基本保育料の無償化部分を学生生徒納付金から移管したことや、大手前高校の収容定員増、高校の教職員増などにより対前年4億9,434万円増(対前年28.8%増)の22億1,345万円となっている。

 なお、5月1日付けの学生・生徒・児童・園児の予定数については、新入生数を大学は学則定員(2,026名)の約1.1倍の2,202名(対前年342名増)と見込み、中学校は80名(前年予算と同数)、高等学校は340名(前年予算と同数)、大手前中学校は105名(前年予算と同数)、大手前高等学校は241名(対前年6名増)、小学校は144名(前年予算と同数)、幼稚園は年少で117名(対前年△3名減)、0歳児6名(前年予算と同数)を見込んでいる。この結果、各学舎の総人数は、大学7,408名(対前年347名増)、中・高等学校1,444名(対前年34名増)、大手前中・高等学校1,019名(対前年42名増)、小学校880名(対前年8名増)、幼稚園399名(対前年△12名減)の計11,150名となり、学院全体としての人数は前年度と比較して614名の増と見込んでいる。 学生生徒等納付金及び経常費等補助金が増となりながら、教育活動収入計が対前年で減となる主な要因は、前年度に受け入れた井谷奨学基金(7億6,100万円)に関する現物寄付の減に伴う寄付金の減によるものである。

 一方で、教育活動支出計は136億3,560万円となり、対前年で6億2,155万円の増(対前年4.8%増)となる見込みである。

 教育活動支出計の構成科目は人件費、教育研究経費、管理経費であり、増は教育研究経費、人件費の増と管理経費の減の差引きによるものである。 人件費は、対前年4,497万円増(対前年0.7%増)の60億4,266万円となっている。なお、人件費総額のうち、退職給与引当金繰入額は1億1,631万円の減となる見込みから、これを除く人件費としては1億6,129万円の増となっており、その内訳は、教員人件費で2億2,819万円の増、職員人件費で6,350万円の減、役員報酬で340万円の減となっている。

 主な要因として、教員人件費は、大学の本務教員増や年俸制への切り替え、中・高等学校の本務教員増、こども園の給与改定に伴う会計異動(職員⇒教員)などにより増となっている。また職員人件費は、法人の本務職員減や賞与制度の変更に伴う減、こども園の給与改定に伴う会計異動(職員⇒教員)などによる減と、大学の本務職員増などによる増との差引きで減となっている。

 教育研究経費と管理経費については、それぞれの学校にて立案している事業計画の実施及び通常経費の計上に基づくものであり、事業計画については前述のとおりである。主な要因として、教育研究経費は、安威キャンパスBYOD対応や安威キャンパス再整備などにより対前年7億6,750万円増(対前年14.7%増)の59億9,173万円となっている。管理経費は、前年度に計上した中・高等学校新校舎解体費用が当年度なくなることなどにより対前年1億9,092万円減(対前年10.7%減)の16億121万円となっている。

 この結果、教育活動の収支状況を表す教育活動収支差額は、対前年7億1,117万円減(対前年175.4%減)の3億578万円の支出超過となる見込みである。なお、特有経費である安威キャンパスBYOD対応と安威キャンパス再整備に係る経費を除いた教育活動収支差額は、2億7,998万円の収入超過となる見込みである。

 次に、経常的な収支のうち財務活動による収支状況を表す教育活動外収支では、収入の部に受取利息・配当金を計上しており、支出の部に借入金等利息を計上している。 受取利息・配当金は、世界景気の減速を背景とした運用資金における配当収入の減を見込んだことにより、対前年3,697万円減(対前年56.9%減)の2,797万円を計上している。

 また、借入金利息は、2017年度と2018年度に新キャンパス建設資金として借り入れた資金に対する借入金利息として1,534万円を計上している。

 これにより、教育活動外収支差額は1,262万円となり、教育活動収支と教育活動外収支を合計した、経常的な収支バランスを表す経常収支差額は2億9,316万円の支出超過となる見込みである。なお、特有経費である安威キャンパスBYOD対応と安威キャンパス再整備に係る経費を除いた経常収支差額は、2億9,261万円の収入超過となる見込みである。

 さらに、臨時的な収支を表す特別収支では、収入の部に資産売却差額として主に安威キャンパス東側土地の売却差額を、その他の特別収入として現物寄付を計上しており、支出の部に資産処分差額として主に安威キャンパス東側土地の売却に伴うグラウンド倉庫等の処分差額を計上しており、差引きである特別収支差額は38億700万円の収入超過となる見込みである。

 これに予備費を加味した結果、当年度の収支バランスを表す基本金組入前当年度収支差額は、対前年39億7,090万円増の34億1,383万円の収入超過の見込みとなり、経営指標とされる事業活動収支差額比率は19.7%(対前年23.8ポイント増)となる見込みである。なお、安威キャンパス東側土地の売却差額、特有経費である安威キャンパスBYOD対応と安威キャンパス再整備に係る経費(特別支出の不動産処分差額も含む)を除いた基本金組入前当年度収支差額は、1億9,549万円の収入超過の見込みとなり、事業活動収支差額比率は1.46%となる見込みである。

 そして、今年度の基本金組入額は、4億6,696万円を予定しており、対前年23億1,278万円の組入減となっている。組入減の主な要因は、前年度に計上した大学と中・高等学校の新キャンパス建設における未払金の支払いに伴う組入れが当年度なくなることによる減である。

 今年度における組入額の主な内容は、大学と中・高等学校の新キャンパス建設における借入金の返済に伴う組入れのほか、大学において安威キャンパスBYOD対応や安威キャンパス再整備による組入れと安威キャンパス東側土地の売却による取崩しなどの差し引きで2億1,614万円の組入れ、小学校において本館空調更新や北館トイレ改修などによる2億2,135万円の組入れである。

 以上を踏まえ、前年度繰越収支差額を加味した翌年度繰越収支差額は、81億2,027万円の支出超過となる見込みである。

(2)資金収支予算

 資金収入の部(前年度繰越支払資金を除く)については、当年度収入合計が232億430万円となり、対前年で52億5,195万円の増(対前年29.3%増)となる見込みである。

 事業活動収支で説明した科目以外で予算計上額が大きな科目は、資産売却収入、前受金収入、その他の収入、資金収入調整勘定である。対前年で増となる主な要因は、資産売却収入の増である。

  • 資産売却収入は45億9,993万円となる見込みで、対前年40億9,993万円の増となる。増となる主な要因は、当年度に安威キャンパス東側土地の売却収入40億6,395万円が計上されていることによる。
  • 前受金収入は16億4,546万円となる見込みで、対前年1,666万円の増となる。
  • その他の収入は当年度56億3,583万円となる見込みで、対前年9億6,087万円の増となる。増となる主な要因は、安威キャンパスBYOD対応及び安威キャンパス再整備に伴う施設設備引当特定資産取崩収入の増と、前年度計上した奨学基金の取り崩しが当年度なくなることに伴う第3号基本金引当特定資産取崩収入の減、大手前高校・小学校・こども園の改修案件減に伴う施設建設引当特定資産取崩収入の減との差引きによるものである。
  • 資金収入調整勘定は△21億5,713万円となり、前年度△17億314万円より4億5,398万円のマイナス幅の拡大(当年度収入としては減)となる。主な要因は、大学において当年度に予定されている安威キャンパス東側土地の売却収入40億6,395万円のうち、2018年度に収受した前受金4億639万円を調整することに伴い前期末前受金のマイナス幅が拡大することによる。

 一方で、資金支出の部(翌年度繰越支払資金を除く)については、当年度支出合計が232億5,997万円となり、対前年で16億7,449万円の減(対前年6.7%減)となる見込みである。

 事業活動収支で説明した科目以外で予算計上額が大きな科目は、資産運用支出、その他の支出である。対前年で減となる主な要因は、その他の支出の減と、資産運用支出の増との差引きによるものである。

  • 資産運用支出は67億816万円となり、前年度より45億8,220万円の増となる。主な要因は、安威キャンパス東側土地の売却収入を原資とする施設設備引当特定資産の繰入支出である。
  • その他の支出は37億8,087億円となり、対前年65億7,297万円の減となる。減となる主な要因は、大学と中・高等学校における新キャンパス関係の支払の減少に伴う前期末未払金支払支出の減である。

 この結果、当年度の収入合計から支出合計を差引いた支払資金の増減額は△5,567万円となり、これに前年度繰越支払資金を加算した翌年度繰越支払資金は63億2,959万円となる見込みである。

以 上