2020.05.28
創立記念日にあたって
5月29日は、追手門学院が132周年を迎える創立記念日です。追手門学院小学校の前身である大阪偕行社附属小学校が1888年4月3日に開校式を挙行しました。1892年4月29日に、明治天皇の「一層精励、その実を挙ぐべし」とのお言葉が伝えられたのを記念して、それ以来、この日を創立記念日としてきたものです。さらに、昭和になって、この4月29日であったものが、天皇誕生日と同じということで、一ヶ月後の5月29日になりました。
考えてみれば、すべての学校の学年暦が基本的に4月に始まるとするならば、学校の創立記念日というものはどの学校においても4月1日になるはずです。しかし、本学院のように、開校した日と別の日にわざわざ創立記念日が決められているのは、その日が始業の日として大切だからという理由より、毎年或る日を決めて、その日に改めて創立の日を思い、気持ちを更新して、新たな一年に臨むための日として大切であるからと考えられます。
これは母の日や父の日とも同様です。母や父に感謝すべきであるのはこの日に限りません。しかし、時間は常に流れ続けているので、日々の移ろいの中でずっと何かを考え続けたり、感謝し続けたりすることもまた困難です。我々は、日々何かを忘れゆく動物だからです。
そこで、慣れから脱するために、この決められた日に意識して立ち止まり、創立の日を振り返り、今までの歴史と伝統を確認し、さらにその歩みを明日へとつなげることを思考するのが、創立記念日の存在意義の一つです。
今年は132周年です。130周年の2018年には盛大なる記念式典が行われました。しかし、130年と132年とで、何らかの価値の差異があるわけではありません。在学生の皆さんにとっては、今年が在学中に迎えた創立記念日として一生に一度しかない日であることに違いはありません。
皆さんが学ぶこの学院の歴史の長さに、思いを馳せてください。そうして、誇りを持ってください。これほど長い歴史を持つ学院は、日本でも有数です。
そうしてこの誇りを、次代につなぐことを考えてください。
学院の不断の伝統と歴史を再確認する日として、また、自動化に流れがちな我々の意識の更新の日として、この日を有意義に過ごしてください。