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2022.06.15

文系理系の区別を超えて

 最近、大学教育に関して、文系とか理系という言葉をよく目にしませんか。
 たとえば今年6月7日に閣議決定された、政府の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太方針2022」には、「専門性を大事にしつつも、文理横断的な大学入学者選抜や学びへの転換を進め、文系・理系の枠を超えた人材育成を加速する」と謳われています。これは5月10日に発表された内閣官房教育未来創造会議の第一次提言の「現在35%にとどまっている自然科学(理系)分野の学問を専攻する学生の割合についてOECD 諸国で最も高い水準である5割程度を目指す」という方針を承けたもので、この提言については、文部科学大臣も5月24日付で、「現状では大きく不足している、理系の学修を行うための大学の受け皿を抜本的に拡充すること」と「とりわけ女性の皆さんが理系の分野で大きく活躍していただける社会を構築すること」の2点を特に重視するというメッセージをわざわざ出しています。
 この背景には、昨今の小中高の教育課程における「情報」教育の急激な進展があります。2025年には、大学入学共通テストにおいて、「情報」という科目が必修化されます。

 本学は永らく文系だけの大学でした。しかしながら2019年に経営学部の中に情報システム専攻を設置し、文理を超えた教育の一歩を踏み出しました。また2021年には、心理学部の中に人工知能・認知科学専攻を設置し、本格的な理系教育を始めました。そして今年開設した文学部には、美学・建築文化専攻も置きました。こうして徐々に文理の別を超えた学びの分野を増やし続けています。近い将来、いわゆる理系と呼ばれる分野の学部を作ることが、目下の願いです。

 ところで皆さんは、自分のことを文系や理系という言葉で捉えたことがありますか。本来、人間に文系人間や理系人間という明確な型が存在するのでしょうか。真に、国語科や社会科などが得意な人が文系で、数学や物理学などが好きな人が理系なのでしょうか。
 現実社会を見ても、文系要素と理系要素とは複雑に混ざり合っています。今はAIが小説を書いて賞を取る時代です。
 皆さんも、得意不得意に拘らず、ぜひ理系と文系の区別を超えた教養の学びを意識してみてください。それを必須とする時代はすぐそこまで来ています。

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