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2020.11.13

それは人間らしいか

 JR環状線のすべての駅に、人間の女性とロボットが向き合った、あのよく目立つ広告看板があります。そこには本学の名と「それは人間らしいか?」という文字が見えます。
 阪急梅田駅にも同じ広告がさらに大きく掲げられています。皆さんはもう目にしましたか。
 ご存知のとおり、2021年4月に、心理学部に人工知能・認知科学専攻が誕生します。本学は、いわゆる文系ばかりの6学部からなる大学ですが、これからいよいよ文系理系の枠組みを超えた教育機関へ発展していこうとしています。
 既に経営学部に情報システム専攻を設置した時から、この動きは始まっていました。いわゆる理系や文理融合型の学部に進みたいと考える高校生を学生として迎えることは、かねてより本学にとっての悲願でもあります。
 時代は進み、最近では文系理系という区別の有効性にも、疑問が呈されるようになってきました。大学で学ぶこと、さらには実社会で出会う問題は、文系か理系かが整然と区別されているものばかりではありません。問題解決のためには、このような区別の思考法では追い付けません。
 一方、巷ではDXという言葉がよく聞かれるようになってきました。デジタル・トランスフォーメーションの省略表現で、デジタル技術とデータを活用した、企業などの業務、風土、文化などの改革のことです。この波が、大学にも押し寄せてきています。
 大学の教育においては、DXも、一見すると、授業にIT機器を導入し教材の充実などを図るIT化と同様にも思えますが、この言葉が云わんとするところは、ITとデータによる効果測定により、授業内容自体をも変え、カリキュラムを充実化させ、学びの質の画期的な向上を目指すことのようです。
 もちろんそのようなことが簡単にできれば話は楽です。車の自動運転のように、どれだけAIを駆使しても、今の段階では、教員という人間の経験や技能とうまく組み合わせない限り実現できないのも事実です。
 これからの時代は、技術の進展の中で、人間の独自の存在意義が問われる時代です。皆さんは、自分という「人間」に、どのような価値と意味を求めますか。
 「それは人間らしいか?」
これは、ロボットと人間の双方に向けられた問いなのです。



広告が掲載されている阪急梅田駅3階改札口のエスカレーター

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