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2021.05.17

学生と生徒、研究と専門

 今年度から一回の授業時間が105分になりましたが、受講してみていかがでしょうか。学び方に変化はありますか。

 先日、4年生の久保亜美さん(国際教養学部)と岸謙太君(経営学部)から学長室でインタビューを受けました。その動画が、「追手門アイデンティティ」という授業で教材として流されたとのことで、ご担当の先生方から受講生のコメントが届きました。
 概ね理解を示していただきました。むしろ過褒のために面映い内容のものばかりでした。なんでも、学長というのはかたくて恐そうな人間だという先入観が強いそうです。意外に気さくそうだった、というコメントで安心しましたが。

 ところで、受講生の多くが、自分たちを「生徒」と呼んでいることに気づきました。
実は私にも覚えがありますが、大学生の頃、先生から「学生」と「生徒」は違う、とよく正されました。学校教育法でも、中学や高校については「生徒」、大学と高専については「学生」と呼ぶこととなっています。
 教えられることが中心の「生徒」に対し、「学生」は主体的に学ぶことに加え、その方向性やそれを学ぶ道筋も自ら選び取らねばなりません。大学と高校までの学びの最大の相違は、この「自分で決定すること」にあります。その集大成の一例が卒業研究です。その意味で、「学生」はまた一人の研究者でもあります。

 学会などではよく「専門は何ですか」という質問が飛び交います。しかし自らの「専門」というのは、現実にはなかなか示し難いものです。
 私などは、ふだん「専門」を聞かれると「日本近代文学」と答えますが、日本近代文学会などの学会では全員がそうなので意味がなく、代わりに、「永井荷風です」とか「流行小説です」とか、「今は匂いと香りをやっています」とか、「偶然が専門です」とか言うことになります。そんな時、自分の「専門」を改めて考えさせられます。

 自分は「学生」なのか。「生徒」ではない「学生」とはいったい何者なのか。「学生」なら何を学び何を研究しているのか。
 私は皆さんに、卒業後、大学で何を学んだのかだけではなく、何を「研究」したのかを、明確に答えられるような「学生」になってほしいと思っています。

 さて、皆さんの「専門」は何ですか?

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