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2022.02.07

偶然性と可能性

 本学の男子ラグビー部が、全国地区対抗大学ラグビーフットボール大会で優勝したことを、キャプテンの沖佑樹君(4年)とマネージャーの津野森苗さん(3年)が、部長や副部長、監督とともに学院執行部に報告しに来てくれました。
 この大会は、全国大学ラグビーフットボール選手権に次ぐ歴史ある全国大会とのことで、北海道地区、東北地区、関東1区、関東2区、東海北陸地区、関西地区、中四国地区、九州地区より各1校ずつ選出され、8校のトーナメント方式で優勝を競います。今年度の本学は関西大学ラグビーリーグBリーグの3位でしたが、偶然ながらBリーグを代表して近畿代表となり、全国大会で優勝にまでこぎつけました。そんな彼らも関西大学ラグビーリーグでは、未だにBリーグ所属です。目標は強豪のひしめくAリーグ昇格とのことです。
 小寺監督は、優勝の一要因として、キャプテン中心に部員それぞれが主体性を持って行動ができるチームになってきたことを報告されました。これに加えて、優勝したという事実が、彼らをさらに強くするものと思われます。大会の別にかかわらず、優勝すること自体に、成長推進力とも呼ぶべき魔法の力があるようです。彼らは、これを後から顧みて、自分たちの活動と思い合わせ、必然の結果である部分を再確認し、自信を持つからです。

 九鬼周造という哲学者は、『偶然性の問題』という著書の「結論」に、「偶然性は不可能性が可能性へ接する切点である」ということを述べています。「偶然性の中に極微の可能性を把握し、未来的なる可能性をはぐくむことによって行為の曲線を展開し、翻つて現在的なる偶然性の生産的意味を倒錯的に理解することが出来る」とも書いています。偶然性をうまく把捉すれば、それが可能性を生み、必然性へと発展するわけです。

 皆さんは、可能か不可能かを早くに決めて、多くのことを諦めてはいませんか。もし何らかの「偶然性」があれば、それは可能となるのではないでしょうか。反対に、「偶然性」をうまく掴めてもいないのに、理由なく可能だと信じようとはしていませんか。
 「不可能性が可能性へ接する切点」を、ぜひ、よく見極めてください。皆さんにも、未だ気づかない発展の可能性が満ち溢れているはずです。

優勝の報告を行ったラグビー部

優勝した全国地区対抗大学ラグビーフットボール大会での集合写真

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