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2022.04.18

知る人ぞ知る

 2022年度の授業も始まって1週間が経ちました。キャンパスには、本来の大学らしい賑やかさが戻ってきたように感じます。

 「知る人ぞ知る」という言葉があります。多くの人に知られているわけではないが、知っている人は実に深く(その良さなどを)知っている」というような意味で用いられます。以前も紹介した、本学との包括協定先の一つである長崎県西海市は、この言葉にふさわしいところです。
 ここで、この春休みに、協定締結後初めてのインターンシップが行われました。期間は2週間で、国際教養学部1年の木原梨菜さん、地域創造学部1年の河合菜々海さんと菊地陽葵君の3人が参加しました。その最終日前日の成果発表会を聞くために、三たび西海市を訪れてきました。
 ここで、センダンによる林業の再構築について教えていただきました。ここにいうセンダンは、「栴檀は双葉より芳し」の栴檀(白檀)とは別の木で、ヒノキやスギより生育が早い早生樹です。販売価格も高いのですが、生育途中に曲がりやすく、これまで植林には不向きであるとされてきました。それが今、技術開発により、職業としての可能性が再考されつつあるというのです。さらに、広葉樹であるセンダンはCO2の吸収量も多く、SDGsの課題にも応える魅力があります。このようなさまざまな複合的な可能性の下に林業自体を考え直すこと、それをテーマにした研修や若い世代の修学旅行の企画が、彼らの携わったインターンシップの内容でした。

 「古今集」に、紀友則の「君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞしる」という歌があります。「あなたでなければいったい誰にこの梅の花を見せましょうか。この花の色や香りのよさは、よく分かる人にしか伝わらないものなので」というような意味です。

 いきなりよく知られなくとも、まず「知る人ぞ知る」ところを目指しましょう。それが良いものなら、必ずいずれ広く深く知られるようになります。これは起業や再構築の精神の原点です。どのような分野においても、複合的な可能性に気づき、探究し、実験実証し、世に具体的に問うこと。そこから、新しい未来が生まれます。

 皆さんのこのキャンパスでの学びが、新しい未来の良き可能性につながることを祈っています。

センダンの植林をする学生3人

西海市の農林課にヒアリングをする様子


※学年は2022年3月時点のものです。

 

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