宝満宮 竈門神社 御本殿
大学紹介
2024.07.05
6月30日は、1年がちょうど半分過ぎたので、各地の神社で、「夏越の祓(なごしのはらえ)」という神事が行われます。これは、半年分の穢れや厄を払い、残り半分を息災に過ごすためのものです。皆さんは、本殿の前に設置された茅の輪を8の字を描くようにくぐった経験はありませんか。
福岡の太宰府天満宮から2キロほど山に向かって登ったところに、宝満宮竈門神社という神社があります。古くからある神社ですが、竈門の名と、場所が太宰府の鬼門の方角に当たることから、近年、「鬼滅の刃」の聖地として急に参拝者が増えたとのことです。今年はここの茅の輪をくぐってきました。
この「夏越の祓」には、京都などでは、旧暦6月を意味する「水無月」という名のお菓子を食べます。白いういろうの上に小豆が乗ったお菓子で、この赤い小豆が災厄を払ってくれるとのことです。一方、夏至から11日目の7月2日頃(今年は7月1日)は、「半夏生(はんげしょう)」と呼び、農家では田植えはこの頃までに終えなければならないとされています。稲の苗がしっかり根付くようにとのことから、この日に蛸を食べるところも多いようです。
このように、今でも旧暦由来のいろいろな風習や習慣が残っています。多くは農事のスケジュールに沿ったものですが、これに神事や仏事、キリスト教の行事などが加わり、カレンダー上には、ほぼ毎週、何かがあります。
季節の節目節目に、このような行事や風習に従って行動することを、皆さんはどう考えますか。面倒くさいと思いますか。
初詣やクリスマスパーティーなどもそうですが、毎年恒例のお祭や行事など伝統的なものの多くが、最初は、先ほど述べた、竈門神社に多くの人が訪れるいわゆる「聖地巡礼」などにも通じるような、多くの人々が行動を共にする「イベント」として始まり、暦の上に定例化したものと考えられます。
昔の人が「夏越の祓」のために訪れた竈門神社に、近年は「聖地巡礼」として世界中から多くの人が訪れました。そしてそのブームも今はピークを過ぎたようで、私が訪れた時は、ごく普通の神社なみの人影でした。
こうして長期的な視点に立って眺めてみると、伝統的な風習も、身近に感じ取ることができると思いませんか。
宝満宮 竈門神社 御本殿
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