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2020.11.27

No.31 学びの具体化と実感

 成熟社会研究所の学生研究員が、茨木市見山の郷産の赤紫蘇を用いた「しそとことん」というクラフトビールを作り、話題になっています。『日本経済新聞』にも取り上げられました。成熟社会研究所の所長の佐藤友美子先生が小豆島において地域活性化の取組みに関わっておられた中で企画が熟し、小豆島のブリュワリー「まめまめびーる」の協力で、限定250本の商品化が実現しました。売れ行きも順調で、今回だけに限らず次年度も製造することを目指しているとのことです。これができれば学生研究員にも継続性が生まれます。学生研究員9人と研究所の中川啓子さんの奮闘のおかげです。
 さっそく1本いただきました。赤い色が美しく、ほのかに紫蘇の香りがして、五感で楽しめるとても美味しいビールです。

 森鷗外は作家として有名ですが、軍医であり、若い頃にはドイツに医学の勉強のために留学し、ここでビールに出会いました。「独逸日記」には、ドイツ人たちの飲むビールの量に驚く記事があります。友人たちは500ミリリットルのグラスを25杯以上飲む者も稀ではないのに対し、自分は3杯しか飲めないので、「嘲笑」されるという記事です。それでも3杯は飲めたようです。
 その後、ドイツ語で「ビールの利尿作用」という衛生学の論文を書き、帰国後その翻訳も発表しました。ここには鷗外の「苦い」ビール体験の実感も反映されているものと思われます。

 発想次第で学びはどんどん発展します。自分の学びを具体的に認識できれば、発展の方向性も確かなものとなります。
 例えばオイナビに大学4年間の行動がまとめてあれば、学びの具体化に容易につながります。これは将来の進路のためのエントリーシート素材集でもあります。
 追大WILについても、可視化のためシラバスに明記します。興味を持った自らの学びを殊更に自覚することで、卒業研究のヒントを得たり、生涯続くライフワークを見つけたりすることの手助けになればと思います。

 例えば味について。本来は「うまい」は「あまい」と同語という説もあるほど、甘いものがおいしく感じられるはずですが、ビールは、苦いのにおいしい、という珍しい味を持ちます。どうしてでしょうか。
 ここにも学びの種が落ちています。

▼学生研究員が商品化を行った「しそとことん」

 (作業は2019年7月に実施したものです)


          

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