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2020.12.04

パーソナルスペースの変容

 とうとう大阪府の感染状況に赤信号が灯りました。本学卒業生の西上雅章さんが会長を務める通天閣も、悲しそうに赤色にライトアップされます。その一方で、府立高校については通常通りの授業とするとされました。大学の授業も、感染対策が徹底されていることが条件ですが、それぞれの判断に任されました。本学も今のところ行動基準2レベルを維持し、対面授業を継続したいと考えています。学生の皆さんにも、感染予防のためのいっそうの行動認識をお願いします。

 パーソナルスペースという言葉があります。他者との多分に心理的な距離感やテリトリー意識のことで、例えば無人の電車の中で、自分のすぐ隣に他人が座ると、やや不安な感覚に囚われます。
 パーソナルスペースの広さは、人や文化によっても異なるとされます。混み具合など状況によって異なることもあります。だいたい、手を広げて届く範囲に他人が入ってくると、領域を侵された感覚を持つのが通常です。
 人間はこの領域を、視覚や聴覚、触覚、さらには嗅覚などさまざまな感覚を駆使して測っています。さすがに味覚は使わないでしょうが、五感を駆使して、心地よい領域を守っているわけです。
 このうち、視覚と聴覚は距離が離れていても判断できるので、高等な感覚と呼ばれます。これに対し触覚や味覚は対象に接していないと機能しないので、原始的な感覚とされます。嗅覚はその中間的なものです。

 ところが遠隔授業やオンライン会議などの場合は、この距離感がいったん無化されてしまいます。画面上は目の前にいても、実は地球の裏側にいる場合まであります。しかもそこにあるのは映像と音声のみで、匂いも触感も感じ取ることはできません。そこでは視覚と聴覚を中心にした、もう一つのパーソナルスペース意識が重要になります。

 これをいい方向に捉え直すならば、これからの時代は、現実の五感と、視覚と聴覚のみを使ったもう一つの社会的文化的距離感の双方が感じ分けられることで、パーソナルスペースが二重化され、対人距離感覚がより高度化されるということでもあります。
 密でいることの困難な今こそ、距離感覚に敏感になってください。皆さんのよりスマートな距離感の構築を期待します。



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