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2020.08.06

「つい調子に乗って」の前に

 大雨続きの梅雨が明け、ほぼ同時に酷暑の8月となりました。
 本学は学年暦を変更しなかったため、例年どおりの夏期休暇期間を確保することができました。定期試験期間も無く、例年以上に長い夏となります。
 その一方で、感染予防のために移動や旅行がしにくい状況も続いています。学生の皆さんには、今、この期間の過ごし方が試されています。

 全国各地で、痛ましい水難事故が数多く報告されています。ここには大学生も含まれています。
 今年は異常なほど全国的に雨が多く、災害のひどさが目立ちます。各地の水難事故にも、川幅や海岸の水流、滝壺の深さの変化などが影響しているのかもしれません。
 本来体力があるはずの若い人の事故には、「つい調子に乗って」やりすぎた行動が原因の場合が多々あります。久しぶりに会った友人たちと「つい」盛り上がってしまったり、普段はめったにしないようなことを、アルコールの力で「つい」やってしまったり。その延長線上に、夏には特に、水に関わる事故が待っています。
 事故は、起こってから後悔しても遅いものです。
 「つい調子に乗って」行動する前に、一瞬立ち止まって、冷静になってください。危険なほど水に近づかなくても、この夏は十分に楽しめます。

 ところで、エレベーターで遠い知人と二人きりになった時や、タクシーの車内などで交わされることが多いのが、「暑いですね」「一雨来そうですね」など天候に関わる会話です。黙っているのも失礼な時に、共有しやすい天気の話題を挨拶として交わすことで、我々は「社会的距離感」を保っているのです。

 なぜこの「社会的距離感」が必要なのか。それは、人間関係というものが実に繊細だからです。多くの人間が常に周りとの関係について無意識裡にも並々ならぬ気を遣って生きています。
 若い人が、親しい友人の歓心を買おうと「つい調子に乗って」無茶なことをしてしまうのも、そのせいかもしれません。しかしそれが事故につながっては行き過ぎです。「社会的距離感」とは、本来、周囲との人間関係において自分を大切に守るためのものだからです。
 「つい調子に乗って」しまわず、自分という存在を大事にしてください。

 それにしても暑いですね、皆さん。

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