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2021.11.29

現状維持バイアスとサンクコスト

 秋学期から、Web Classとともに、Knowledge DeliverというLMSをテスト運用し始めました。情報メディア課のウェブサイトにも、「2021年度秋学期LMS特設ページ」を開設しましたが、お気づきでしょうか。

 先日、Knowledge Deliverを提供するデジタルナレッジ社のはが社長が来学されました。欧米で進む、オープンバッジやデジタル証明書(デジタルクレデンシャル)について、お話を伺いました。これらは、自分の学修行動などの実績証明を標準化して、デジタルでバッジのように「見える化」する仕組みで、たとえば日本文学というバッジがあると、信頼できる大学で日本文学の単位を取得したことがわかる、というものです。これらバッジが世界共通になり、社会共通になれば、留学先や就職した企業において、手軽に証明書のように提示することができるようになります。

 もはや技術はここまで進んでいます。その一方で、日本ではなかなかデジタル文化が進まないのも事実です。例えば皆さんは、ハンコ文化をどう思いますか? 私は珍しい姓なので無理ですが、妻の旧姓はよくある苗字なので、ハンコを忘れても文房具店などに行けばたいがいは入手できます。これを押した印でいいなら、デジタル処理でもいいのではないでしょうか。
 もう一つ、これだけ電子メールなどが進んだ社会の中で、いまだに日本で多く用いられていて、欧米の人が驚くのが、FAXだそうです。村上智之他著『働き方のデジタルシフト』という本にも紹介されていましたが、アメリカでは、スミソニアン博物館に産業遺物として展示されるほど時代遅れの象徴だそうです。

 なぜこんなことになるのか。これについても『働き方のデジタルシフト』に明確に指摘されています。それは、新しいものが出てきたとき、いわゆる「現状維持バイアス」がかかり、変えたくないという抵抗が働くからだそうです。さらには、せっかく整えた設備を新しいものに代えるにはコストがかかるので、投資してしまったコストを取り戻そうとして古い設備に固執する、いわゆる「サンクコスト」の心理も働くそうです。

 授業で用いていない場合でも、一度、Knowledge Deliverを覗いてみてください。データを用いて合理的で効果的な学びを提供するという、本学の新しい教育の試みが、もう始まっています。

情報メディア課ウェブサイト|2021年度秋学期LMS特設ページ
https://www.ccile.otemon.ac.jp/lms-support/lms-summary/index.html

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