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2021.05.28

創立記念日と数え年について

 5月29日は学院創立記念日です。1888年創立ですので、今年は133周年です。ちなみに大学は1966年創立なので55周年です。

 創立記念日は、個人で云えば誕生日に当たります。日本で個人の誕生日祝いが一般化したのは、かなり最近のことで、太平洋戦争終戦後からと考えられています。これには理由があります。

 皆さんは、自分の数え年を普段意識していますか。神社で厄年を数える際などに用いられているあの年齢です。
 昭和前期頃までは、日本では数え年が一般的でした。数え年とは、生まれた瞬間が1歳で、お正月になると、日本中の人々が一斉に一つ歳を取ります。つまり、みんなの年齢加算日が同じ1月1日なのです。そのために、お正月には誰に会っても、明けましておめでとう、というわけです。

 この数え方は、個人の誕生日という事実を無視し、一見不合理なようですが、歴史研究や人物研究などにおいてはとても便利なものです。例えば、夏目漱石が結婚したのは何歳だったのかを記述する際、満年齢ならば誕生日の前か後かで年齢が変わってしまうので、漱石の誕生日をいちいち調べなければなりませんが、数え年ならばその必要がないからです。
 しかし、個々人が実際に生まれた日の特別性が薄められているようで、現代の我々には、つまらない数え方に映るかもしれません。それだけ我々は、個人の独立性を大事に思うようです。

 ところで、何周年というのは、満年齢の数え方と同じです。
 けれども、大学や小学校、中学校、高等学校は、現在では基本的には4月1日に学年暦が一斉に始まりますので、4月1日に同時に年齢を取るとも考えることができます。つまり実質は数え年に近いのです。大学で云えば55周年といいながら、既に56期目の学年が始まっています。
 学院や大学においては、学年暦の主人公である学生や生徒、児童が第何期に当たるのかが重要です。いっそ周年も、134期年、56期年である、とする方が便利かもしれません。いかがでしょうか。

 創立記念日に際し、皆さんには、常識を疑い、無意識に陥っている制度性を暴く思考の一例をお薦めしました。
 ただ、私は先日満59歳の誕生日を迎えました。数え年なら60歳です。この年齢の印象はやっぱりちょっと嫌ですが。

▼1888年 学院発祥の地「追手門学院小学校」の正門



▼1966年開学当時の追手門学院大学 安威キャンパス

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