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2021.01.07

No.36 なぜ大学における学問が重要なのか

 あけましておめでとうございます。
 正月休みの間、本学においてはクラスターも発生せず、陽性とされた方はいますが深刻な症状の感染者はいなかったようで、ひとまず安心しています。これで秋学期も学年暦を変更することなく終えられそうです。ひとえに学生及び教職員の皆さんのご協力の賜物と感謝いたします。
 ただし世の中の状況は穏やかではなく、首都圏のみならず、関西圏にも再び緊急事態が迫っています。

 今、世界で起こっていることにより思い知らされたのは、人間という存在が、たった1種類のウイルスに対して、いかに無力であるかという事実です。
 これだけ文明が進展した現代において、世界中の叡智を結集しても、事態は収束に向かうどころか、むしろ悪化しています。
 我々は、まだまだ学びが足りないようです。21世紀の人類は、未だ発展途上の存在のようです。

 今こそ考えてみてください。
 COVID-19 のために経済的対応をし続けることは、今の日本の国家予算で可能なのでしょうか? この国は、そうでなくても既に税収の倍近くの予算を組んでいる国です。
 多くの会社や組織も、経営のあり方を問われています。人が動かない時に、これまでと同じ手法が通用するのでしょうか?
 都道府県を跨ぐ移動が禁じられたり、外国人の入国が制限されたりしていますが、そもそも地域に明確な境界などあるのでしょうか? 国ごと、都道府県ごとの感染者数の発表は、ナショナリズムの典型です。ウイルスはそれを嘲るように簡単に国境を越えます。人間はウイルス以下の普遍性しか持っていないとは思いませんか?
 家族の絆や近所付き合い、冠婚葬祭などを通じて形成され、個人が私的にだけではなく公的な役割を果たすことで守られてきた市民社会は、今後どうなっていくのでしょうか? 
 我々は、日々情報に右往左往し、状況を正しく認知できず不安になっています。我々の心理状態や思想はこれでよいのでしょうか? 
 今こそ歴史に学ぶことが必要です。現実を超えた想像力も求められています。
 とにかく我々は、もっと学び、もっと考え、もっと賢くならねばなりません。
 考え続けて下さい。考えるための思考方法は、皆さんが今学んでいる学問から応用可能です。
 この困難に、人間の智慧が打ち勝つことを祈ります。

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