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2021.05.21

個性的であることと空気を読むこととの狭間で

 本学における新しい教育OIDAI MATCHを推進するための一つのツールとして、ゼミの中での話し合いや、グループディスカッションの際に、複数の参加者の発言をそのまま録音し、発言量やその変化、やり取りの量などのデータをリアルタイムで分析し、その場で「見える化」するという製品について、説明を受けてきました。
 これにより、複数のグループの議論の大まかな様子を同時に知ることが可能になります。今のところは音声認識まではできないとのことですが、個々の参加者の発言量だけでも貴重な情報です。

 就職のためのグループディスカッションなどでは、発言量が少なすぎるのも困るが、全体をリードして8割方話しても却って評価が低いという企業の採用担当者の話も伺いました。この話は、皆さんも感覚的に納得できるのではないでしょうか。その場の空気を読み、適度で効果的な発言をすることが高評価につながるとのことです。

 消極的過ぎても積極的過ぎてもいけない。これは、どんな場面でも常に自分の立ち位置を意識しなければならないことをも意味します。

 例えば、日本におけるマスク着用が典型的ですが、法規制ではなくあくまで「要請」に過ぎないのに、人目による暗黙の非難によって、強い強制力が働いています。「自粛」行動もそうです。これらを「日本らしさ」と呼ぶことが正しいのかは難問ですが、そこに、他の人から目立たないように、突出しないように行動することをよしとする文化が存在することは確かです。

 一方、教育の現場などでは、全く異なる文化も見られます。皆さんもこれまで、むしろ個性的であること、目立つことを求められてきたのではないでしょうか。
 もちろんこのこと自体はとても重要なことです。ただし他人に迷惑をかけてまで自らの個性や主張を優先するとなると話は別です。

 私もこれまで、自由な個性発揮と限界の線引きが気になっていました。例えば芸術家なら、芸術のためなら何をしてもよいのか。バンクシーの絵は、世界中のどこに描かれてもよいものなのか。

 現在の厳しい社会的制約状況は、我々自らの行動指針を見つめ直す絶好の機会かもしれません。前向きに捉え、この状況を思考の伸長に繋げてください。




▼OIDAI MATCH
追大の教育コンセプトである「主体的に学び・協働して問題解決にあたる独自の学修スタイルWIL(Work-Is-Learning)」と並ぶ、新たな教育コンセプトMATCH(MAximized-TeaCHing)。
ICTを含めたあらゆる手法駆使し、教育内容に合わせた(MATCH)した教育効果を最大化する追手門学院大学独自の教育手法です。
詳細はこちら → https://www.otemon.ac.jp/guide/neweducation.html

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