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2020.09.17

途切れた時間と「涓滴岩を穿つ」

 COVID-19感染症の拡大によって、皆さんには、何か「途切れた」ことはありましたか。やりたくても継続できていない活動はありますか。それを再開したいと思っていますか。興味自体を失ってはいませんか。もしそうなら実にもったいないですね。

 大学における学修の成果を自ら確認し、次につなげてもらうために、皆さんには2018年よりGPS-Academicという学修成果アセスメントを受けてもらっています。先日その分析結果の説明会がありました。特に興味深かったのは、現3年生の入学後3年間の経年推移データでした。全学平均で見れば、協働的思考力は平均的に伸び、創造的思考力は1年から2年にかけて大きく伸びて、その後は少しの伸びに留まっているのに対し、批判的思考力は2年から3年にかけて急に伸びています。当然さまざまな要因が考えられますが、伸びる時期が違う、という点に大きな示唆があります。思考力に代表される我々の学力は時間と比例して伸びるものではなく、突然伸びたり伸び悩んだりするものなのです。ただしそれは学修を続けている場合に限ります。
 また、1年から2年にかけて「学びたいことが学べていない」学生は思考力が低下しています。授業外学習時間についても、2年から3年にかけて「1時間未満」を選んだ学生は思考力の数値が低いという結果も出ています。興味や目標を持ち、学修習慣を持つ学生が着実に学力を伸ばしているという、当然と言えば当然の結果です。

 小さなしずくでも、時間をかければ岩にも穴をあける。「涓滴岩を穿つ」という言葉には、成果と苦労の両面の意味があります。何かをずっと続けることは、忍耐力が求められ、実際にはなかなか困難なものです。それでも続けるには何らかの理由が必要です。強い関心や興味、人より目立ちたいという向上心などです。
 前号にも紹介した物理学者のアインシュタインも、「私は頭が良いわけではない。ただ人よりも長い時間、一つの問題と向き合うようにしてきただけである」という意味のことを述べたそうです。
 とにかく「何か」を続けてください。何に決めていいのか迷うならば複数のことでも構いません。その「何か」に、皆さんの個性と可能性が示されているはずです。

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