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2024.11.13

言葉が付け足してくれるもの

 今年も奈良国立博物館の正倉院展を観てきました。「国家珍宝帳」の筆頭に掲げられている刺し子縫いの袈裟や、毎年楽しみにしている琵琶や笛などの楽器、螺鈿で装飾された鏡、スッポン形のふたものなど、魅力的な宝物をたくさん観覧することができました。
 ただ、1300年も前のものなので、一見するだけでは用途の分からないものも多く含まれています。そんな時、種々の解説文や図録の文章が、鑑賞を助けてくれます。
 例えば冒頭の袈裟は、「糞掃衣」という、捨てられた布切れを洗って縫い合わせた、信仰のあり方を象徴する布で、これを聖武天皇が実際に着用されたかもしれないと知ると、布地が改めて輝き出します。

 7月に行われた本学の「学長杯ビブリオバトルグランドチャンプ大会2023」の入賞者に、先日、改めて表彰状を授与する機会がありました。ビブリオバトルとは、周知のとおり、それぞれ持ち寄った好きな本に対する書評をぶつけあって、最終的にその本を読みたく思った人の数で勝者を決めるバトルで、ビブリオバトル普及委員会が定める公式ルールなるものもあるとのことです。
 「日本語表現」のクラスの1年生の間で競い合い、文学部の両井口恋さん、国際学部の西口なずなさん、心理学部の林ゆりさん、社会学部の原花乃さん、法学部の山本翔希君、経済学部の山本歩武君、経営学部の高木大輝君、地域創造学部の平石裕貴君が、各学部のチャンプとなりました。
 このうち、両井口さんが学長杯、高木君が図書館長賞、山本君が校友会長賞を獲得しました。なおこの大会は、「全国大学ビブリオバトル2023」のブロック予選も兼ねていて、学長杯の両井口さんは、関西ブロック決戦に駒を進めることになりました。

 ビブリオバトルにおいては、人があまり気づかない価値や、意外な評価などを述べることが大切です。また、それを表現する評言も、やや過剰で刺激的な言葉を用いる方が印象的です。
 要するに、その作品自体の価値だけではなく、その作品以上の、あるいは作品以外の価値を付け加えることによって、勝負が競われます。
 これは、多くの芸術品や宝物の鑑賞や価値評価にも共通します。実は、宝物や本とは、世に出た時が完成品なのではなく、そこから、価値が新たに生まれ、広がっていくものなのです。

▼ビブリオバトルの様子


▼当日の様子はこちら

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