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2021.10.05

cloud と crowd

 ガンバ大阪長期実践型インターンシップ学生代表である地域創造学部2年の寺井俊輔君と、クラウドファンディング班リーダーで社会学部2年の本村桃子さんが、スタジアムでの接遇向上のためのクラウドファンディング達成の報告に、学長室に来てくれました。本学とサッカーJ1のガンバ大阪とは、かねてよりパートナーシップ協定を結び、密接な関係を構築してきました。

 クラウドファンディングとは群衆(crowd)と資金調達(funding)からなる言葉で、コーディネーターでもある基盤教育機構の大串恵太先生によると、リターンの相違により購入型と寄付型と金融型の三つの種類があり、目標に達しないと資金が受け取れないall or nothing方式と、未達でも受け取れるall in方式とがあります。
 彼らのものは購入型でall in方式、リターンとしてグッズやチケット、サービスなどが贈られます。インターネットの進展は、日本における資金集めと活動の文化全体を変えつつあると言えます。

 話は変わりますが、今年4月より、本学では、教育および事務系の全システムをcloud環境へ移行し、完全なクラウド化を実現しました。そのおかげで、オンラインの授業や会議なども、大きな問題なく運営されています。今後はさらにこれを基礎として、教育DXを大きく推進させようとしています。

 ここにいうcloud と crowdとは、全く別の言葉ですが、カタカナにするとどちらも「クラウド」であり、いずれもインターネットを介した目に見えない相手を対象としている点で、実によく似ています。そもそも誰もその語義をあまり深く探っていないのではないでしょうか。

 我々は、近世以来の「西洋コンプレックス」とでも呼ぶべき心情から、何でもかんでも外国語を用いたがるようです。
 例えばロックダウンやフェーズ、クラスターなどは、わざわざ英語で言わなければならないものなのでしょうか。リターンやグッズもそうです。
 リストラはrestructuringすなわち再構築という語の省略で、日本で用いる意味は海外では通じないようです。
 これらの混乱した言語の状況を、もう一度、正しい状態に戻したいとは思いませんか。

 「西洋コンプレックス」も「西洋への劣等感」でいいように思えます。
 自戒を込め、あらゆる言葉の意味について、もっと敏感になりませんか。

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