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2024.08.06

読書と感想文とプレゼンテーション

 子供の頃の夏休みの宿題に、読書感想文がありました。良い感想文とは、いったいどのようなものか、ずっと知りたく思っていました。判断基準が見えにくいからです。これは、大人になっても続く難問です。
 私は、一つにはこれが知りたくて、文学研究を始めました。例えばある小説について、好きか嫌いかではなく、ほとんど皆が納得するような価値評価の基準が打ち立てられないかと。
 楽しみながらの読書と、読書感想文を書くために読む行為とは、どこか決定的に異なっています。読む箇所、読む次元が異なるようです。前者は消費的ですが、後者は、感想文執筆という創造行為を前提にした予備的なものを含みます。ここに鍵があります。

 先日、総持寺キャンパスのアラムナイ・ライブラリーのアカデミックアリーナで行われた、「学長杯ビブリオバトルグランドチャンプ大会2024」に出席してきました。約120名が来場したとのことです。
 この大会は、「日本語表現」を受講している1年生たちの「5分で愛読書への想いを伝え合うプレゼン合戦」で、クラス予選を勝ち抜いた学部チャンプ8人が学長杯を争います。多くの上級生たちがサポートスタッフとして支え、また、ポスター制作には美術部も腕をふるっています。「本を通して人を知る、人を通して本を知る」をサブタイトルとするこの催しは、「全国大学ビブリオバトル2024」の関西ブロック予選を兼ねてもいます。学長杯に選ばれた学生は関西ブロック決戦に出場し、ここで勝ち残った場合、12月22日に昭和女子大学で行われる「全国大学ビブリオバトル」へと進みます。
 それぞれの学部チャンプは、文学部が留森樹君、国際学部が矢戸彪凱君、心理学部が浅田真実さん、社会学部が中島翔太郎君、法学部が西田春菜さん、経済学部が角村仁胡さん、経営学部が戸田佳吾君、地域創造学部が能登由奈さんで、学長杯は心理学部の浅田さんが手にしました。

 ビブリオバトルは、感想文とも異なり、その本を他人に薦めるプレゼンテーションですが、これもまた創造行為です。ビブリオバトルを経験した学生たちは、本の読み方が決定的に変化したはずです。
 この先に、卒業論文などの創造行為のための読書と研究の姿も見えてくるはずです。楽しみですね。

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