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2023.06.15

基礎と応用、そして発展的未来

 梅雨の合間を縫って、宇治の三室戸寺に紫陽花を見に行ってきました。実に多くの種類と色の紫陽花が咲き乱れていました。「墨田の花火」などのガクアジサイの種類に見慣れると、昔からよく見る、手まり型のホンアジサイがまた可愛く見えたりします。花も改良され、見る人の好みも移り変わることを実感しました。

 境内には、多くの蓮の鉢が並べられ、その葉の上には、例のわらびもちのような水玉が揺れていました。
 これを見て、機械工学における着想の話を思い出しました。ものづくりは自然界からヒントを得ることが多く、蓮の水玉などは、撥水や摩擦に関わる材料工学や、水の動きに関わる流体工学などの学びを実にわかりやすく示してくれるそうです。生物からヒントを得たものづくりの科学技術をバイオミメティクスと呼ぶそうです。この蓮の葉の性質を、車の窓ガラスや服や帽子などに高度に応用できれば、ワイパーも傘も不要なはずです。ただしその構造分析には、当然、工学の基礎学力が必要です。

 新型コロナウィルス蔓延の影響で、しばらく活動休止状態だった茶道部の部長の水谷彩乃さん(地域創造学部2年)と田中愛梨さん(経営学部3年)が、活動再開報告と初夏茶会へのお誘いのために、学長室に挨拶に来てくれました。茶道はいうまでもなく行儀や作法、ふるまいを大切する文化ですが、裏千家の公式ウェブサイトには、「「和敬清寂」の語で示される千利休居士の茶の湯の根本は今日に至るまで不変です。しかし、それはいたずらに古いかたちを踏襲しているだけではありません。各時代に生きる人々が「そのときの今」に適う茶の湯のすがたを模索してきた証しです。」と書かれています。
 来る6月19日、「さすらいの茶人」と呼ばれる、裏千家の長谷川秀明(茶名宗水)さんが、総持寺キャンパスに茶室付きのワゴン車でやってきて、追大茶会を催されるそうです。かなり発展した形の茶の湯ですね。これも、基礎を大切にし、それを応用し、未来へつなぐものです。

 本学は、2025年の理工学部開設を目指しています。これまでの学部もそうですが、理工学部の学問も、基礎的な学力の先に、夢を現実にする可能性を秘めています。発展的未来の種は、身近なところにあります。わくわくしてきませんか。

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