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2022.06.20

「自分探し」とは何か

 「皆さんは、10年後、20年後、30年後、どんな人になりたいと思いますか?」
 こんな質問があれば、多くの皆さんは、職業名で答えるのではないでしょうか。例えば、経営コンサルタントになりたい。パティシエが夢。公務員になります。USJで働きたいなあ。などなど。
 しかしながら、このやり取りは、問いと答えが少しずれているとは思いませんか。
 我々は、何かの職業に就くためにだけ生きているわけではありません。職業はあくまで生きるための手段であり、我々の将来像は、もう少し本質的であるはずです。人を助けるような人になりたい、周りを明るくする役割を担いたい、などです。もちろんその像は漠然としていますし、今後変化するかもしれません。

 社会学部の舞台表現プロジェクトSTEPの公演「鼻曲がりと言われた少年」を観てきました。モデルとなったYOUさんのアフタートークとミニライブのある回で、全てにとにかく感動しました。
 途中、作中の演者たちが素の学生劇団員に戻って、将来について話し合う演出がありました。作品の素晴らしさとは別に、とても考えさせられました。

 大学の4年間は、「自分探し」の時代だという言葉もよく聞きます。この言葉が学生たちに焦燥を与えている場合さえあります。そもそもたった4年間で「自分」を探し当てることなど無理だと考える方がよほど自然です。
 皆さんには実に長い未来の時間があります。卒業後も、継続して何かを長い期間学び続ければ、教養が深まることは当然です。それにつれて、自己像も変化するはずです。
 本学の学生には、卒業後も一生学び続けてほしいと願っています。そのために、在学中に、学ぶべき知識とともに、その学び方をも身につけてほしいのです。学ぶ方法さえ身につけておけば、今はその知識がなくとも、いずれは手に入れることができます。

 もし真の「自分探し」があるとすれば、それは、「自分」を探そうとしている今の「自分」に気づくことなのかもしれません。この「自分」はなぜ今「自分探し」などしたいのか。そこには自己のせっかちな成長願望が認められるかもしれません。
 まずは焦らずにいきましょう。「自分」を知ることから、学びは始まります。LMSなどで皆さんの学修データを集めるのも、実はそのためなのです。



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