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2020.11.06

最大の罪は無関心

 11月になりました。1日は本学の学園祭でしたが、同じ日、大阪市のいわゆる「都構想」をめぐる選挙があり、アメリカ合衆国では3日に大統領選挙がありました。
 フランスやイギリスでは、新型コロナウイルス感染拡大が再燃し、都市封鎖が再び行われています。日本を含め世界の感染状況はいまだに日々刻々と変化しています。
 これら世の中の出来事に、皆さんはどの程度興味を向けていますか。皆さんがマスクをすることと、来年度の大学構内出入りの可否と、大阪市の都市封鎖の可能性とが、密接につながっていることを実感できていますか。

 社会学部の横田修先生から、11月12日から14日まで催される本学の舞台表現プロジェクトSTEPの第8回公演「あいまい宝島」の案内を頂戴しました。横田先生はタテヨコ企画という劇団を主宰する著名な演出家でもあります。出演する学生たちの演技も楽しみです。
 今回の作品は、ハンセン病を想像させる架空の病気に罹ったために、小さな島に完全隔離された人々の生活ぶりや、病気への偏見や誤解のために失われる人間関係などについて扱ったものとのことです。横田先生は、「本作を観ることで、新型コロナウイルス感染症という100年に1度の疫病と闘う人類が、何か大切なものを思い出すきっかけになれば幸いです」とのメールを下さいました。
 私は、無自覚や無関心の状態から抜け出せる「きっかけ」として、演劇や文学などの芸術の役割があると思っています。社会学部に所属する横田先生ならではの脚本の選定です。
 偶然ですが、先日、天満天神繁昌亭の夜席で、桂春蝶の新作落語「石と夕陽の間のペロリ」を聞いてきました。これは彼の「落語で伝えたい想い」シリーズの第七作ですが、ペロリは新型コロナウイルスを思わせる架空のウイルスで、話の中には、ハンセン病患者だったパン工場の主人も登場します。
 いずれも、感染症という目に見えない敵を用いて、人間の心の弱さや世間の不条理などを描くもののようです。

 「人間にとって最大の罪は、他者への憎しみではなく、他者への無関心である」と言ったのは、劇作家のジョージ・バーナード・ショーです。
今こそ、世の中に能動的に目を向けてください。見えない敵も見えるかもしれません。
 

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