▼西海市との包括連携協定調印式(左:西海市 杉澤泰彦市長、右:追手門学院大学 真銅正宏学長)
▼西海市の基盤整備事業で整備された土地
大学紹介
2021.07.02
西海市は、2005年に5つの町が合併してできた新しい市で、五島灘と佐世保湾と大村湾に囲まれた西彼杵(にしそのぎ)半島に位置します。南が長崎市、北が西海橋を渡ると佐世保市で、ハウステンボスもすぐ近くです。
追手門学院大学は、6月29日、この西海市と包括連携協定を結びました。農林水産業とその流通や政策に関わるフィールドワークやインターンシップなど、学生の皆さんの実践的な学びの場の創出のためです。
昨年11月に西海市を訪れた際、車窓から時々見える、山間部の鮮やかな赤い土の色に驚かされました。そしてこれに惚れこみました。
西海市では、かねてより蜜柑などの柑橘類が名産品でしたが、後継者不足等で耕作放棄された土地も目立ってきたので、基盤整備事業による土地利用の効率化が進められ、そのために、土の色を一時的に見ることができる場所があります。
赤土の赤い色は、栄養分やミネラルが豊富に含まれていることを端的に示しています。菌も繁殖しやすく、それが野菜や果物の独特の旨味を作り出すそうです。そのおかげで、西海市には、糖度の高いトマトやスイカ、甘くてほくほくしたイモ類など、とにかく美味しいものが溢れています。
司馬遼太郎は、「街道をゆく」シリーズの「竹内街道」に、母の実家のある竹内村の風景について、「竹内街道が赤土の坂になって、山へのぼっている」と書きつけています。また、保田与重郎という作家の代表作「戴冠詩人の御一人者」の冒頭には、ヤマトタケルの白鳥陵のある私の住む羽曳野市について、「赤埴の色のあざやかに恐らく日本で一等美しい土の香空の碧したところ」「土の色の赤く美しく、樹の緑のあざやかさ、そのうへの空の色は限りなく深い」と書かれています。土は土地の価値判断材料であり、赤土は最大の褒め言葉なのです。
近代の日本人の海外旅行記にも、寄港する土地や訪問先の土の質がよく書きつけられています。土に直に触り、匂いを嗅ぎ、その土地を実感したのでしょう。
今は、大人が土に触る機会が極端に失われています。皆さんは最近、土を触ったことがありますか。その機会を、西海市と協力して存分に作り出したいと思っています。それが素晴らしいことであることを信じているからです。
▼西海市との包括連携協定調印式(左:西海市 杉澤泰彦市長、右:追手門学院大学 真銅正宏学長)
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