大学紹介
2020.11.19
社会とはいったい何でしょうか。本学の教育理念は「独立自彊、社会有為」ですが、この社会とはどのような存在なのでしょうか。
「社会」という語は比較的新しい言葉で、江戸末期に使われ始めたとされます。英語のsocietyの翻訳語であることがわかる例は、1875(明治8)年に『東京日日新聞』で福地桜痴が「社会」と書いて「ソサイエチー」とルビを振ったのが最初とのことです。
江戸期までは「社会」の代わりに「世間」などの語が用いられていました。この語を考えても、それがどこにあるのか実に曖昧です。
社会学は社会について研究する学問ですが、多くの学問がそうであるように、社会とは何か、について真正面から問う理論的な学問から、社会の個別の事象や問題へと研究対象が大きく拡がっています。ジェンダーやハラスメントなどが典型ですが、置き換えるうまい日本語がないまま海外から取り入れられた問題圏も多くあります。
社会において何か解決すべき歪みが生じた時、改めて「社会」全体が認識されるという構造です。
舞台表現プロジェクトSTEPの舞台「あいまい宝島」を観てきました。ハンセン病の隔離施設である大島青松園をモデルに描かれた長谷基弘氏(劇団桃唄309)の作品を、本学社会学部の横田修先生(タテヨコ企画)が演出したものです。上演期間中は同時にハンセン病に関する展示も行われ、ハンセン病にも詳しい「健康と病いの社会学」がご専門の本学社会学部の蘭由岐子先生が学術アドバイザーを務められました。
COVID-19のために、練習の時間と場所の確保に苦労したであろう学生たちの演技は、それでもとても魅力的なものでした。岡山県にある国立療養所へ現地調査にもでかけ、ハンセン病者への扱いについての理解も深めたようで、社会学部の学部プロジェクトの特性を生かした、稀有で貴重な作品が出来上がりました。横田先生も、他大学にはない本学社会学部ならではのコラボレーションによる取り組みができた、とおっしゃっていました。11月18日には、NHKの「ニュースほっと関西」という番組にも取り上げられました。
我々の「社会有為」のあり方にも様々な形が可能です。このような試みと成果は、大学として本当に誇らしいものです。STEPの皆さん、本当にありがとう。
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