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2020.09.07

秋学期の開講を前に

 各種メディアで報道された4年前の職員研修の件で、学生の皆さんをはじめ保護者の皆様、その他本学に関係する多くの方々に対してご心配とご迷惑をおかけし、申し訳なく存じております。

 さて、いよいよ秋学期が始まります。2年生以上の皆さんは、キャンパスにおける対面授業の再開について、リアルな世界での交流を期待されるとともに、今後本格化するオンライン授業との併用について、時間の自己管理や移動に関わる心配もお持ちのことと思います。
 また、初めて恒常的に通学する新入生の皆さんにとっては、あの巨大な逆三角錐の建物を自分の学びの本拠地とする初めての学期となります。大学生活の現実化にともない、やはり不安も大きいことと思います。
夏目漱石に「三四郎」という小説があります。小川三四郎という青年が、東京で大学に入るために、大望をもって九州熊本から汽車で出てくる場面から始まります。

 ――これから東京に行く。大学にはいる。有名な学者に接触する。趣味品性の備わった学生と交際する。図書館で研究をする。著作をやる。世間で喝采(かっさい)する。母がうれしがる。

 しかしながら東京での生活は思うようには進まず、三四郎はこの後、悩みながら徐々に人間関係の本質を学んでいきます。
 ここで注目したいのは、三四郎にとって、大学の隣接イメージが、「学者」「学生」「図書館」「著作」であることです。
 さて、皆さんにとって大学とはどのような場なのでしょうか。オンキャンパスで学ぶとはどのようなことを指すのでしょうか。友人と実際に会うことの魅力とは言語化すればどのようなことでしょうか。
 これらは、人が人と会うことの意味、社会性についての根源的な問いでもあります。大学という場の存在意義にも強く関わります。
 三四郎も、「接触」「交際」を楽しみにし、「世間」や「母」を気にしていました。人間関係、対人関係が、人にとっての最大の関心事であることは今も昔も変わりません。特に対面の場においては、その場の空気を読むことは特に重要です。
 キャンパスでは、これらのことを殊更に意識して学んでください。今まで普通であった人との何気ない触れ合いが、いかに濃密で大切なものであるのかがわかるはずです。

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